最新記事

アフリカ

ゴリラ保護先進国ルワンダの「成績」

2010年7月26日(月)13時38分
ジョン・ローゼン

観光資源 ルワンダではマウンテンゴリラの数は減っていない Marie Louise Gumuchian-Reuters

 死者数十万人と言われる94年のルワンダ虐殺から16年。この国の現在の最大の外貨獲得源は観光だ。ルワンダ開発委員会によれば今年の観光客数は75万人で、1万6000人がゴリラ見学に参加する。

 ルワンダには世界に生息する700頭のマウンテンゴリラの3分の1がいる。生息地の火山国立公園で6月、マウンテンゴリラの赤ちゃんに名前を付ける毎年恒例のイベントに数千人が集まった。1人500ドルを払い、雨のしずくに濡れた熱帯雨林の中でシルバーバック(雄の成人マウンテンゴリラ)の生態を見るツアーもある。こうしたツアーやイベントの収入はゴリラの生存に欠かせない。

 国連環境計画の調査では、密猟や生息地減少によって過去20年間でゴリラの個体数は激減。今後10年から15年で現在生息するアフリカ中部から姿を消す可能性がある。

 ただ密猟パトロールや観光と保護を結び付けたルワンダ政府主導の活動のおかげで、全世界のゴリラの数の1%以下ながら、マウンテンゴリラは唯一数を減らしていない。カガメ大統領も野生生物の保護を最優先事項としている。

 ゴリラ保護のため土地利用を制限されて怒っていた地元民も、政府がイベントやツアーの収益を使って学校や福祉施設をつくると、態度を一変させたという。

GlobalPost.com特約)

[2010年7月28日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

10月企業向けサービス価格、前年比2.7%上昇 前

ワールド

トランプ政権、石炭火力大気汚染物質の規制厳格化を撤

ワールド

ウクライナ大規模汚職事件さらに拡大へ、捜査トップが

ワールド

ブラジル前大統領、27年の刑期開始 最高裁命令
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    放置されていた、恐竜の「ゲロ」の化石...そこに眠っ…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 9
    使っていたら変更を! 「使用頻度の高いパスワード」…
  • 10
    トランプの脅威から祖国を守るため、「環境派」の顔…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 7
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 8
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 9
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 10
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中