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サルコジvsドビルパン、世紀の泥沼裁判

現職大統領と前首相の政治生命を賭けた場外乱闘に見る仏政界のアナクロニズム

2009年9月30日(水)16時04分
トレーシー・マクニコル(パリ支局)

 近年のフランス政治史において他に例を見ないほどスキャンダラスな事件の裁判が、9月21日にパリで始まった。法廷の場で対決するのはサルコジ大統領とドビルパン前首相。同じ右派に属しながら長年の政敵だった2人の戦いは、結審する10月下旬までフランスの新聞の一面をにぎわすに違いない。

 事件はまるでB級テレビドラマさながらの展開を見せている。

 発端はフランスから台湾へのフリゲート艦売却をめぐる汚職事件の捜査が行われていた2004年にさかのぼる。捜査当局はルクセンブルクの金融機関クリアストリームの取引記録を入手。そこにはフリゲート艦売却でリベートを受け取ったとされる人物の名前がリストアップされていた。

 そのなかには、ロシア系マフィアや航空機メーカーのエアバス社幹部などと共に、当時財務相を務めていたサルコジの名前もあった。だがこのリベートの受取人リストは偽物だった。本物の口座名義人のリストに、何者かが虚偽の情報を書き加えたのだ。

 大統領の座を狙っていたサルコジは、当然ながら事件は自分を追い落とすための策略だと考えた。一方のドビルパンは、リストが偽造されたものだと知りながら汚職事件の捜査を進めさせたという疑いが持たれている。ドビルパンは虚偽告発の共犯として起訴され、サルコジはリストに名前が挙げられた他の人々と共に原告に名を連ねている。

 イラク戦争に反対する03年の国連演説などで世界から注目されたドビルパンも当時、大統領選への出馬を思い描いていたという。裁判では、ドビルパンが当時何を知っていて、その情報を元に、いつどんなことをしたかが問われることになる。

 もしドバルピンに有罪判決が下れば、最長5年の禁固刑を受けて被選挙権を失う可能性もある。だが無罪となれば、サルコジが再選を目指す公算が強いとされる12年の大統領選に、ドビルパンも立候補するのではないかとの予測も出ている。

 いずれにせよ現大統領と前首相の政治生命を懸けた戦いとその醜い結末は、フランス政界がいまだに旧態依然とした世界であることを示している。

[2009年10月 7日号掲載]

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