最新記事

エールフランス

搭乗者リストにテロリストの影?

確証ある情報はないものの、テロの可能性もまだ否定しきれない

2009年6月17日(水)15時32分
マーク・ホーゼンボール(ワシントン支局)

 6月1日に大西洋上に墜落したエールフランス機の事故には、テロリストが関わっていたのではないか──フランスのメディアはそんな可能性を示唆した。しかし米政府関係者は、その線はほとんどないと否定している。

 フランスの週刊誌レクスプレスはウェブ版で、フランスの情報機関が搭乗者リストの中にイスラム主義のテロリストにつながりのある人物2人の名前を見つけたと報じた。乗客の生年月日が分からなかったため、同一人物か確証は得られなかったという。

 今回の墜落原因の捜査に詳しい米政府高官によれば、フランス側は搭乗者リストの2人について米当局に問い合わせたが、初動捜査ではテロとの関わりを立証できなかった。どちらの名前も中東地域ではよくある一般的な名前だった上、テロ容疑者として特定するのに必要な生年月日が分からないため、各国情報機関のデータベースで照合することもできなかった。

 アメリカとフランス双方の捜査関係者は、テロの可能性を完全に排除したわけではない。しかし今のところ、搭乗者リストの人物とテロの関連性を示す確たる証拠も、墜落事故と結び付ける根拠もないと、米高官は語る。彼らはフランス当局が報道を否定する発表を行うだろうとみている。

 今回の墜落事故が起こる数日前に、ブエノスアイレスからパリへ向かっていたエールフランス機に爆破予告があったという情報も報じられた。しかし捜査関係者によれば、爆破予告はアルゼンチン発の便を対象にしたもので、墜落したリオデジャネイロ発の便は無関係だった。それに、爆破予告は国際線、国内線を問わず頻繁に行われ、その大半がデマだと、ある米当局者は語る。

 エールフランスの整備部門に自動送信されたデータによると、複数の速度計の数値にばらつきがあったという。悪天候の中を飛行したため速度を測るピトー管に氷が詰まり、速度を保てなかった可能性もある。

[2009年6月24日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、米中貿易巡る懸念が緩和

ビジネス

米国株式市場=大幅反発、米中貿易戦争巡る懸念和らぐ

ビジネス

米国株式市場=大幅反発、米中貿易戦争巡る懸念和らぐ

ビジネス

米労働市場にリスク、一段の利下げ正当化=フィラデル
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇敢な行動」の一部始終...「ヒーロー」とネット称賛
  • 4
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル賞の部門はどれ?
  • 4
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中