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不正まみれでも英保守党は大人気

2009年6月1日(月)15時32分
ウィリアム・アンダーヒル(ロンドン支局)

 国会議員による不明瞭な経費請求問題で大揺れのイギリス政界。国民の血税が議員のヘリポートの費用やプールの修理費、堀の清掃費などに使われていたことが次々と発覚している。

 この経費スキャンダルで与党・労働党も痛手を負ったが、保守党の受けたダメージのほうが大きいと考えるのが自然だろう。デービッド・キャメロン党首が「上流階級」「雲の上の人たち」という保守党のイメージを払拭しようと努力していた矢先の出来事だったからだ。

 なのにキャメロンは依然として高支持率を保っている。保守党の支持率は多少下がったものの、約40%と高いまま。これに対して、労働党の支持率は20%台に急落した。さらに「今回の経費問題は保守党よりも労働党にダメージを与えた」と答えた有権者の数は、その逆と答えた人の2倍に達した。

 理由は国民の保守党への期待値がもともと低かったからだ。労働党のハロルド・ウィルソン元党首はかつて「労働党は倫理を守る戦士であり、そうでなければ存在意義がない」と述べた。もともとの基準が高過ぎたから有権者は労働党を離反したのだ。

 対照的に「保守党はやることなすこと低俗だ」と政治評論家のマイク・スミスソンは言う。これだけ期待が低ければ、1年以内に行われる総選挙で保守党は勝利できるかもしれない?

[2009年6月 3日号掲載]

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