最新記事

同性愛

性的指向を矯正する転向療法の終焉?

男性の体と女性の心をもつトランスジェンダーの遺書が明らかにした「治療」のダメージ

2015年4月24日(金)12時44分
ゾーイ・シュランガー

病気扱い 性的少数者に対する理解はまだまだ不十分 Noah Berger-REUTERS

 LGBT(同性愛者などの性的少数者)の若者の性的指向や自己の性別認識を「治療」する──。そんな「転向療法」に反対する方針を、オバマ米政権が先週明らかにした。ジャレット大統領上級顧問が「医学的にも倫理的にも不適切」とホワイトハウスのサイトで見解を述べた。

 昨年末にトランスジェンダーのリーラ・アルコーン(17)が転向療法を苦に自殺。ホワイトハウスに療法禁止を求める署名が、30万件以上集まっていた。

 ブログに残された遺書によると、アルコーンは男性として生まれてきたが心は女性。キリスト教徒の両親はそれを受け入れず、転向療法を強制した。セラピストからは「わがまま」「間違っている」などの言葉を浴びせられたという。遺書の最後には世の親たちに向け、子供に同じ思いをさせないよう求める言葉がつづられていた。

 転向療法は、LGBTという「病気」は治せるとの前提で行われるが、その治療内容は非科学的で有害とされる。80年代〜00年代初め頃に盛り上がったが効果がなく、精神的ダメージが大きいとして下火になった。

「ひどいことをしてしまった」と後悔するのは、同性愛は治療できると主張するキリスト教団体エクソダス・インターナショナル(13年に解散)の元代表ダーリーン・ボーグル。彼女は90年までこの運動の急先鋒だったが、ある日手を引いた。女性と恋に落ちたからだ。

[2015年4月21日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ネクスペリア中国部門「在庫十分」、親会社のウエハー

ワールド

トランプ氏、ナイジェリアでの軍事行動を警告 キリス

ワールド

シリア暫定大統領、ワシントンを訪問へ=米特使

ビジネス

伝統的に好調な11月入り、130社が決算発表へ=今
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中