最新記事

新興国

QE3縮小の犠牲:インドルピー最安値

成長減速と物価上昇の経済不振に米緩和縮小が重なって売られるインド通貨

2013年8月21日(水)16時43分
アリソン・ジャクソン

ルピー安 政府もルピー安に効果的な対策を打ち出せない Adnan Abidi-Reuters

 インド通貨ルピーに対する投資家の信頼が急速に失われている。インドルピーは19日、対米ドルで記録的な安値を更新した(20日も最安値を更新)。さらに国債利回りも5年ぶりの高水準を付けた。

 インド準備銀行(中央銀行)と政府によるルピー強化の対策は、1ドル=62.70ルピーと安値を記録していることからも、うまくいっていないようだ。今年、インドルピーはドルに対して12%も下落しており、アジアの通貨の中で最悪のパフォーマンスを記録している。

 通貨が下落したことで、10年債利回りも0.35%上昇して9.23%になった。これは需要が弱まるサインだと言える。

 インドのような新興市場は、今後数カ月にFRB(米連邦準備理事会)が月間850億ドル規模の月間の国債買い入れを削減し始めるという予測によって大きな打撃を受けている。

 経済状況が不透明な時期には、安全な通貨と見られている米ドルに対する需要が高まるものだ。 ただルピー安については、国内の要因も加わっている。

 投資家は、鈍い成長率と消費者物価が上がっていることで、アジア第3位の経済を誇るインドの経済的な先行きに不安を感じている。

 最近の調査では、工場などの国内の生産を評価する6月の工業生産高は、1年前から2.2%減少している。

 7月の消費者物価も、前年比で9.64%高まり、一方で2012-13年度の経済成長率はここ10年で最低の5%に落ちた。

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

マレーシア、対米関税交渉で「レッドライン」は越えず

ビジネス

工作機械受注、6月は0.5%減、9カ月ぶりマイナス

ビジネス

米製薬メルク、英ベローナ買収で合意間近 100億ド

ビジネス

スターバックス中国事業に最大100億ドルの買収提案
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    「ヒラリーに似すぎ」なトランプ像...ディズニー・ワ…
  • 5
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 6
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 7
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 8
    自由都市・香港から抗議の声が消えた...入港した中国…
  • 9
    人種から体型、言語まで...実は『ハリー・ポッター』…
  • 10
    「けしからん」の応酬が参政党躍進の主因に? 既成…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 6
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 7
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 7
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中