最新記事

結婚

経済学が夫婦の危機を救う

セックスレスになる原因はセックスのコストが高いこと。性生活を充実させる秘訣は「低コスト」と「透明性」にある

2012年4月20日(金)16時29分
ポーラ・シューマン
ジェニー・アンダーソン

値ごろ感を保て 手が届くものになればうさぎ並みの性生活も夢じゃない

 夫婦の性生活に関するアドバイスの典型的な例を紹介しよう。

・前戯を増やす
・セックスについて話し合う
・コスチュームプレイを取り入れる
・いい匂いのキャンドルを灯す
・ロマンチックな休暇を過ごす

 私たちのアドバイスはこうだ。

・手の届くものにする

 なんだって? と思うかもしれない。前戯を増やしたりロマンチックな休暇を実現するには、時間とエネルギーが必要だ。しかし、現代のカップルに足りないものがあるとすれば、まさにその時間とエネルギーなのだ。 
 
 そこで私たちは、『夫婦仲の経済学 皿洗いからセックスライフまで、妻と夫の悩みは経済学で解決』(邦訳・阪急コミュニケーションズ)を執筆し、夫婦の関係を経済学で解決することを試みた。経済学はつまるところ資源をどう分配するかの学問だ。結婚生活をハッピーにするのも同じこと。乏しい資源――時間、銀行口座の残高、セックスの意欲、忍耐、22時を過ぎても起きていられる強い意志――を賢く分配すればいい。
 
 私たちが調べたところ、結婚した夫婦がセックスレスになる最大の理由は「疲れているから」だ。そうだとしたら、前戯を増やすことがセックスへの意欲につながるのだろうか。「ワインをもう一杯飲んで、大好きなドラマを最後まで見て、ベッドになだれこむ」のと、「栄養ドリンクを飲んで、オレンジブロッサムのアロマキャンドルを灯して、スパークする」のどちらが魅力的かは、言うまでもないだろう。
 
 これは「値ごろ感」の問題だ。経済学者ならこう言うだろう。コストが下がれば、需要は高まる、と。だからスーパーは特売品を並べ、スポーツクラブは入会月無料のキャンペーンを行うのだ。
 
セックスに関する需要曲線
 
 上の図はセックスに関する需要曲線だ。コストが高くなると、それを欲しい気持ちは失せる。セックスのコストが<バカ高>だったら、禁欲主義にならざるをえない。たとえば、X夫妻がそうだ。彼らは出会ったときと同じように熱く愛し合うべきだと考えていて、感情日記をつけたり、マッサージをすることには熱心だ。だから永遠にセックスの時間がない。
 
 もしセックスのコストが<メチャ安>であれば、うさぎ並みの回数をこなすだろう。結婚15年のO夫妻が充実したセックスライフを送っているのは、セックスのコストを手の届くものにしているからだ。疲れているときは素早く終わらせる。シャツを着たままだっていい。どちらかがその気になったら迷わず伝えるのが秘訣だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国特別検察官、尹前大統領の拘束令状請求 職権乱用

ワールド

ダライ・ラマ、「一介の仏教僧」として使命に注力 9

ワールド

台湾鴻海、第2四半期売上高は過去最高 地政学的・為

ワールド

BRICS財務相、IMF改革訴え 途上国の発言力強
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    アリ駆除用の「毒餌」に、アリが意外な方法で「反抗」...意図的? 現場写真が「賢い」と話題に
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    コンプレックスだった「鼻」の整形手術を受けた女性…
  • 7
    「シベリアのイエス」に懲役12年の刑...辺境地帯で集…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 10
    ギネスが大流行? エールとラガーの格差って? 知…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 6
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 7
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 10
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中