最新記事

告発文書

ウィキリークスが暴くアメリカ陰謀説の嘘

2010年12月6日(月)18時25分
マイク・ジリオ

メキシコとの微妙な関係が壊れる?

 それでも、中南米諸国がアメリカの干渉に敏感になっている以上、ウィキリークスの情報漏えいが今後も多大なトラブルを引き起こす可能性はある。なかでも懸念されるのはメキシコとの関係だ。

 ウィキリークスによれば、メキシコ関連の文書は3000件近くあるが、これまでに公開されたのはごく一部だ。メキシコ国民と軍部は昔からアメリカの過剰な干渉に反発している。アメリカはメキシコの麻薬撲滅戦争に財政的、軍事的支援を提供し、注意深く関係を深めている。

「両国間にはさまざまな歴史があるうえ、2000マイルの国境線を有している。他の国なら大丈夫でも、メキシコとの間では問題になるテーマがある」と、前出の高官は言う。
  
 1月に送信された「機密」扱いの文書でも、メキシコとの関係悪化がもたらすリスクが明確に語られていた。公電には、メキシコの治安当局について「視野が狭い」「リスクを嫌う」といった手厳しい表現が満載。「役人の汚職が蔓延している」というメモもあった。

 ただし、公電の最後には楽観的な言葉もある。「メキシコ軍部と我々の絆はかつてないほど強まっている。こうした小さなチャンスをうまく活用すべきだ」

 今回、汚職の蔓延が暴露されたことで、両国の絆に再びヒビが入るかもしれないが。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:中国で値下げ競争激化、デフレ長期化懸念 

ワールド

米政権、農場やホテルでの不法移民摘発一時停止を指示

ワールド

焦点:イスラエルのイラン攻撃、真の目標は「体制転換

ワールド

イランとイスラエル、再び相互に攻撃 テヘラン空港に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 8
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中