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米政治

ティーパーティーを素人集団と侮るな

2010年9月22日(水)18時32分
デービッド・グラハム

民主党のティーパーティー批判は矛盾だらけ

 それでも、ティーパーティー素人説は広がっていく。リベラル派にとっても保守派にとっても、そのほうが有利だからだ。

 ティーパーティーが登場した当初、リベラル派は「共和党のやらせだ!」と叫んだ。今となっては、ティーパーティーは単なるやらせを越えた本物の政治集団となっているが、コメンテーターたちは逆に、ティーパーティーこそ純粋な草の根運動だと口をそろえる。

 こうした発言は、国民を間違った方向に誘導する。有権者の間に現職議員への反感が広がっていると言われるが、11月の中間選挙で現職を総入れ替えしたいと考えるなら、「反主流派」にみえるティーパーティ系の候補者が実際にはそれほど独立系でないことを理解しておいたほうがいい。

 一方、民主党陣営は、ティーパーティーを未熟な愚か者の集まりだと連呼している。だが、それは事実ではないし、その戦略が民主党への追い風になるかどうかもわからない。なにしろ、ティーパーティーの象徴的存在である元副大統領候補サラ・ペイリンを何かにつけて非難する戦略が、かえってペイリンを強くしてきたのだから。

 民主党は、デラウェア州のオドネルをワシントンの腐敗体質に染まった体制側の政治家だと訴えるキャンペーンを始めた。ユニークな発想だが、民主党全国委員長のティム・ケインが、オドネルのような候補者がいかに共和党の主流派からかけ離れているかを語っていることを考えれば、あまりに矛盾している。

 結局、現実をありのままに語るほうが簡単なのではないだろうか。おっと、政治の世界では、現実をありのままに語るような人間こそ、まさに非主流派の変わり者だ。

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