「AI外科」とは何か?...4つの「がんステージ分類」と定型化を超える「あなただけの手術」
確かに、若手が手術をマスターするには標準的なやり方を知っておくことが重要だし、医療チームで方法を共有できれば効率が良くなる。
しかし、がんを治すという観点で見ると、個々の患者でディテールが違ってしかるべきだ。同じ血管を切るにしても、どのレベルで、どの順番で処理するか、最適解は毎回違う。今は外科医の「センス」の範疇だが、AIが手術を学べば、「今回はどういうやり方の左肝切除がベストか」導いてくれるかもしれない。
手術は、抗がん剤と違って、患者だけでなく医療者(=外科医)の要素が結果に影響しうる治療手段だ。先のデータベースに、術者の情報も追加する。そうすると、AIは「石沢医師が執刀した場合は生存率70%、ただし後輩が執刀すると確率が5%上昇します......」なんてことも言いだすかもしれない。
いや、もしかするとそれは杞憂で、実は完成した計算式に占める「外科医ファクター」の重みは限りなく少ない可能性もある。どちらにしても残念ではあるが。
石沢 武彰(Takeaki Ishizawa)
大阪公立大学 大学院医学研究科 肝胆膵外科学教授。1973年東京都生まれ。千葉大学医学部卒業後、肝臓手術の権威である幕内雅敏教授の手術を学ぶべく東京大学医学部肝胆膵外科に入局(同大学院修了、医学博士)。パリで腹腔鏡手術の奇才ブリス・ガイエ教授に師事。がん研究会有明病院などを経て、2022年4月より現職。編著書に『完全図解 病院のしくみ』(講談社健康ライブラリー・編著)、『手術はすごい』(講談社ブルーバックス)など。
『変革する手術 「神の手」から「無侵襲」へ』
石沢武彰[著]
角川新書[刊]
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