最新記事
考古学

新石器時代の交易は「アフリカが主導」していた...モロッコの遺跡が示す「重大な証拠」とは?

Unknown Stone Age Farming Society Discovered in Africa

2025年5月9日(金)15時20分
アリストス・ジョージャウ(科学担当)
モロッコ北部のウエド・ベート遺跡(Oued Beht)

川を見下ろす尾根に位置するウエド・ベート遺跡(カラー部分) TOBY WILKINSON/ANTIQUITY PUBLICATIONS LTD

<ジブラルタル海峡を挟んで向かい合うアフリカとヨーロッパの間では、新石器時代から交流があったようだ──>

モロッコ北部のウエド・ベート遺跡(Oued Beht)で、新石器時代の農耕社会の存在が判明した。昨年10月に発表された研究によれば、ナイル川流域以外ではアフリカで「最古で最大」で、紀元前3400~2900年ごろのものだという。

【動画】新石器時代の交易は「アフリカが主導」していた...モロッコのウエド・ベート遺跡の集落跡

現地調査をしたのは、英ケンブリッジ大学のシプリアン・ブルードバンク教授(Cyprian Broodbank、考古学)が率いる国際研究チームだ。


この数年間、表土調査やマッピング目的のドローン(無人機)画像調査を実施。発見された約10ヘクタールの集落跡からは土器や石器、前例のない栽培植物や家畜の痕跡が出土し、多くの深い貯蔵穴があったことも分かった。

注目すべきことに、モロッコとジブラルタル海峡を挟んで向かい合うイベリア半島では、同様の貯蔵穴を備えた同時代の遺跡が既に確認されている。

「スペインやポルトガルの南部にある同規模の遺跡や出土品の彩色土器と強い類似性があり、初期の海上交流を示唆している」と、研究者らは指摘する。「その一部はほぼ間違いなく、アフリカ側が主導していた」

<参考文献>
Broodbank C, Lucarini G, Bokbot Y, et al. Oued Beht, Morocco: a complex early farming society in north-west Africa and its implications for western Mediterranean interaction during later prehistory. Antiquity. 2024;98(401):1199-1218. doi:10.15184/aqy.2024.101

事件
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウ、新たな防空パッケージで合意 ゼレンスキー氏がダ

ビジネス

NY外為市場=ドル下落、市場の動揺は鎮まる

ビジネス

米国株式市場=続伸、対欧関税撤回や堅調な指標受け

ワールド

ウィットコフ米特使がモスクワ到着、プーチン氏と会談
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 2
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレアアース規制で資金が流れ込む3社とは?
  • 3
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている「とてつもなく巨大な」生物...その正体は?
  • 4
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 5
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    ノーベル賞に選ばれなかったからグリーンランドを奪…
  • 9
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 10
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 1
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 2
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 7
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 8
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 9
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中