最新記事
絶滅種

「マンモスの毛」を持つマウスを見よ!絶滅種復活は現実になるか?

A Mammoth Breakthrough

2025年3月25日(火)15時00分
イアン・ランドル(科学担当)

ゲノム編集により、ケナガマウスは通常のマウスとは異なる体毛の発育サイクルを持つようになり、毛の長さは通常の3倍にもなる。

また、毛包の成長と構造に関連する遺伝子を改変することで、羊毛のような毛質でウエーブの入った体毛のマウスができた。ひげもカールしている。さらにケナガマンモスの標本に倣い、メラニン色素が関係する遺伝子を操作してマウスの体毛を黄色くした。


ケナガマウスはマンモス復活への道を開いたと、コロッサルの研究チームは胸を張る。このマウスは今後、哺乳類の寒冷気候への適応を研究する際に役立つとともに、特定の形質は複数の遺伝子が絡み合って生み出されることを示す事例になるという。

「これほど短期間で(ケナガマウスを)生み出せたことをとても誇りに思う。われわれは、生物の複雑な形質転換を効率的に実現することにより、遺伝子工学の限界を押し広げた」と、コロッサルのマンモスチームを率いるマイケル・エイブラムズは言う。「この成果は、わが社の科学者の高い技術と、予測どおりの表現型を生み出せる遺伝子工学プラットフォームのレベルの高さを示している」

新しい技術ではない?

CEOのラムも、「マンモスの進化経路がもたらした寒さに強い形質を、生きているマウスに組み込むことで、自然界では何百万年もかかった複雑な遺伝子の組み合わせを再現できた」と胸を張る。

だが、こうした自画自賛に首をかしげる専門家もいる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア「巨大な脅威」に直面、核防衛強化必要=国営原

ビジネス

米当局、テスラ事故報告書の遅れを調査 数カ月経過「

ワールド

全国CPI、7月は予想上回る+3.1% 食品高騰で

ワールド

中国のCO2排出量、上半期は1%減 太陽光発電急増
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自然に近い」と開発企業
  • 2
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精神病」だと気づいた「驚きのきっかけ」とは?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 5
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子…
  • 6
    夏の終わりに襲い掛かる「8月病」...心理学のプロが…
  • 7
    米軍が長崎への原爆投下を急いだ理由と、幻の「飢餓…
  • 8
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 9
    海上ヴィラで撮影中、スマホが夜の海に落下...女性が…
  • 10
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 9
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 10
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中