最新記事

デイジタルネイディブ

10~20代はネットで調べるとき「ググらない」 その理由とは?

2020年3月25日(水)17時30分
望月 智之(いつも.副社長) *東洋経済オンラインからの転載

今の若い世代は検索する「余計な時間」を圧縮している xavierarnau - iStockphoto

ネットショッピングがこれまで右肩上がりで発展してきた理由は、主にその「便利さ」にあった。検索をすれば欲しいものがあり、購入したものを家まで届けてくれる。一定額以上を買えば配送無料というのも当然のようになっている。

しかし、最近の消費者は、便利であることに慣れてしまっている。もちろん、便利なのは絶対条件ではあるものの、それはもはや空気のように当たり前の存在で、他社と差別化できるポイントにはなっていない。「便利さ」は、もはや価値ではなくなっているのだ。

では、今の消費者が便利さにも増して求めているものは何か?

答えは「時間」である。拙著『2025年、人は「買い物」をしなくなる』でも詳しく述べているが、少しでもストレスのかかる時間を減らして、快適な時間、楽しい時間をもっと増やしたい。SNSなどの投稿を見ても、今はそれを生活の優先順位としている人が非常に増えている。

若い世代は「ググらない」

30代以上の世代なら、何かを探すとき、調べるときに、まずGoogleで検索する(ググる)のは、多くの人の「基本動作」になっているだろう。しかし、今の若い世代は「ググらない」といわれている。では、彼らはいったいどうしているのか?

例えば、商品を検索するならAmazonや楽天で、ファッションならZOZOで、コスメならInstagramで......という具合に、Googleを使わずに情報を探すのだ。これも検索することで発生する「余計な時間」を圧縮したいからだと言える。検索すれば膨大な情報を集められるが、その取捨には時間と労力がかかってしまう。

なぜググらない?

これは、「便利さ」が売りであったECサイトの品揃えの豊富さに飽きているどころか、「多すぎる情報から選ぶこと」に疲れてしまっている人が増えているということを表している。つまり、ネット検索に時間をかけるのではなく、あらかじめ自分にマッチした情報だけが絞られて出てくるアプリやSNSから必要な情報だけを得る時代にシフトしているのだ。

そして、今後はこのような世代が消費の中心になってくる。そうした変化に気づいていない企業は、そのうち淘汰されてしまうだろう。

では、便利さに飽きてきた消費者に「時間」という新たな価値を提供して、顧客を獲得するために、企業はどんな戦略を取っているのか、ここでは最近の具体的な例とともに説明していきたい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

黒海でロシアのタンカーに無人機攻撃、ウクライナは関

ビジネス

ブラックロック、AI投資で米長期国債に弱気 日本国

ビジネス

OECD、今年の主要国成長見通し上方修正 AI投資

ビジネス

ユーロ圏消費者物価、11月は前年比+2.2%加速 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 3
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドローン「グレイシャーク」とは
  • 4
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 5
    もう無茶苦茶...トランプ政権下で行われた「シャーロ…
  • 6
    【香港高層ビル火災】脱出は至難の技、避難経路を階…
  • 7
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯…
  • 8
    22歳女教師、13歳の生徒に「わいせつコンテンツ」送…
  • 9
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中