最新記事

宇宙

ボーイング、宇宙でもトラブル 宇宙船がステーションへ接続できず

2019年12月23日(月)11時29分

 米ボーイングの宇宙船「スターライナー」は22日、ニューメキシコ州の砂漠地帯への着陸に成功した。写真は12月22日、ホワイトサンズで撮影(2019年 ロイター/NASA提供)

米ボーイングの宇宙船「スターライナー」は22日、ニューメキシコ州の砂漠地帯への着陸に成功した。しかし、国際宇宙ステーションに接続できず、無人の試験飛行自体は失敗に終わった。

自国の有人宇宙船の復活を目指す米航空宇宙局(NASA)はボーイングとイーロン・マスク氏率いる米スペースXに開発を委託。スペースXは3月に宇宙船「クルードラゴン」の無人試験飛行を成功裏に終えている。

スターライナーは20日にフロリダ州から打ち上げられたが、時間を管理するシステムの不具合によって、国際宇宙ステーションに接続するために必要な軌道に到達できなかった。ボーイングの宇宙部門の責任者、ジム・チルトン氏はシステム内のタイマーが11時間進んでいたため、燃料の燃焼が早くなりすぎたと説明した。

ただ、パラシュートとエアバッグを使った着陸が成功したことにボーイングとNASAの職員らは安堵の声を漏らした。

チルトン氏は22日、記者団に「きょうは最高の結果だった」と指摘。また、2020年にスターライナーの有人飛行を行うという計画について、実施可能かどうかを判断するために専門家が向こう数週間で今回の無人飛行のデータを分析する必要があると述べた。

有人飛行が目的の米国製のカプセル型宇宙船が地上に着陸したのはこれが初めて。

スペースXのクルードラゴンを含め、過去の宇宙船は全て海に着水している。一方、ロシアのソユーズ宇宙船や中国の過去の有人宇宙船は地上に着陸している。

既に退役した米国のスペースシャトルは大型飛行機のように滑空して着陸していた。

[ワシントン 22日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



2019123120200107issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2019年12月31日/2020年1月7日号(12月24日発売)は「ISSUES 2020」特集。米大統領選トランプ再選の可能性、「見えない」日本外交の処方箋、中国・インド経済の急成長の終焉など、12の論点から無秩序化する世界を読み解く年末の大合併号です。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ウォルマート、8―10月期は予想上回る 通期見通

ビジネス

米9月雇用11.9万人増で底堅さ示唆、失業率4年ぶ

ビジネス

12月FOMCで利下げ見送りとの観測高まる、9月雇

ビジネス

米国株式市場・序盤=ダウ600ドル高・ナスダック2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 6
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中