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居眠り運転の意外な原因 開始15分で眠気を誘う要因が分かった

The Hidden Trigger

2018年7月30日(月)17時20分
カシュミラ・ガンダー

「振動」をコントロールできれば事故のリスクも減らせそうだ

<眠気を誘うのは疲れや単調な道路だけではなかった>

居眠り運転は、どの国のドライバーにとっても最も身近な脅威の1つ。米疾病対策センター(CDC)によれば、アメリカでは18歳以上のドライバーの25人に1人が、過去30日間で1度は居眠り運転をしたという。

13年には居眠りが原因の衝突事故が全米で7万2000件発生しており、4万4000人が負傷、800人が死亡している。しかしこの数字に含まれない事故も数多く、実際の死亡事故は6000件に達する可能性があるとする専門家もいる。

運転中に眠気を誘う要因としては疲れや単調な道路が指摘されてきたが、先頃新たな説が浮上した。人間工学関連の英機関誌「エルゴノミクス」に発表された研究によれば、車やトラックのような乗り物がもたらす「低周波の安定した振動」が、十分に休息を取った健康な人にさえも眠気を生じさせる可能性があるというのだ。

オーストラリアのロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)の研究チームは、単調なハイウエーでの運転を再現した上で、「低周波の振動あり」と「振動なし」のシミュレーションをそれぞれ1時間実施。その間の被験者15人の心拍数を測定した。

結果、被験者の心拍数の変化から、振動によってドライバーが疲れを感じて知的作業が難しくなることが分かった。「振動あり」の実験開始から15分で、被験者たちには眠気の兆候が表れ、30分後にはかなりの眠気を感じて集中力を保つのに努力が必要な状態に。60分後には眠気がピークに達した。

一方で興味深いことに、ドライバーたちが眠くなりにくい周波数の振動があることも示唆された。研究報告の著者の1人であるRMITのモハマド・ファード准教授は「さらに幅広い周波数の実験を行い、そうした『いい振動』を利用した車の設計に役立てたい」としている。

今後は、より規模の大きな実験を行い、振動が呼び起こす眠気に年齢など他の要因がどう
影響し得るかも検証する必要がある。ドライバーが睡眠時無呼吸症候群(眠っている間に呼吸停止あるいは低呼吸になる病)だった場合の影響なども検証すべきだろう。

いずれ自動車メーカーは「振動」のコントロールに神経をとがらせることになるかも。

[2018年7月31日号掲載]

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