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複雑なシステムも高額な利用料も不要! 肥後銀行の「炭削くん」がカーボンニュートラルを後押し

2025年12月19日(金)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー

取り組みは熊本を飛び出し全国へ

具体的な成果も既に現れている。ある製造業者では、これまでエクセルでCO₂排出量の算定を行っていたが、取引先から排出量の報告要請を受けて「炭削くん」を導入。CO₂排出量の正確な算定と属人化の回避が可能となり、大きな業務効率化に繋がったという。肥後銀行には「大変助かった」という感謝が寄せられた。

また、熊本県内の中小企業が炭削くんを活用し、自らの排出量を算定した上で、熊本県林業公社が管理する30トン分のカーボンクレジット(温室効果ガスの削減量や吸収量を「クレジット」として企業間で売買できる仕組み)を購入した事例もある。これは、県内の中小企業による初の地産地消型カーボンクレジット取引として、地域における新たなモデルケースとなった。

今後の課題として、この取り組みの担当者である経営企画部サステナビリティ推進室の西村奈未氏はこう語る。

「地方の中小企業の中には、脱炭素やCO₂排出量算定の必要性をまだ感じていないお客様も多くいます。そのようなお客様に対して、脱炭素経営に取り組む重要性をお伝えし、理解を深めていただくことも地方銀行として果たすべき責任の1つだと考えています」

「炭削くん」は既に熊本県内から全国へと広がりを見せており、2025年12月時点で5000社以上が導入済みだ。9月には全国のサステナビリティ推進担当者が集まる「脱炭素経営EXPO」にも出展し、さらなる全国展開に弾みも付くだろう。

西村氏は、今後は炭削くんを起点として、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルの推進を支援し、全国の企業に貢献していくことを目標として取り組んでいきたいと、未来を見据える。

製造業と違い、銀行業が直接排出するCO₂は多くないが、地域経済と密接に結びつく業種であり、カーボンニュートラルの実現においても極めて重要な立場にある。肥後銀行のように、顧客の実情に寄り添いながら新たな価値を創出する金融機関の取り組みは、全国の地域金融機関にとっても大きなヒントとなるだろう。

肥後銀行の取り組みが全国に広まれば、銀行がカーボンニュートラル、ひいては持続可能な社会の「ハブ」となるような日が来るかもしれない。

◇ ◇ ◇


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どの企業も試行錯誤しながら、SDGsの取り組みをより良いものに発展させようとしています。今回の記事で取り上げた事例について、感想などありましたら下記よりお寄せください。

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