最新記事
SDGsパートナー

朝食ビュッフェと空室で子どもの貧困に立ち向かえ...スーパーホテルが取り組む社会価値の「転換」

2025年12月8日(月)11時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
「モーニング子ども食堂」の様子

スーパーホテルが提供する「モーニング子ども食堂」の様子。子どもはもちろん、一般客からの評判も高い

<子どもの貧困や体験格差といった社会課題に、スーパーホテルは、ホテル資源を活かした現場主導のSDGsモデルで立ち向かっている>

日本企業のたとえ小さな取り組みであっても、メディアが広く伝えていけば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。そのような発信の場をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版が立ち上げた「SDGsアワード」は今年、3年目を迎えました。

私たちは今年も、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇


日本では子どもの相対的貧困率が高い。等価可処分所得が中央値の50%未満となる世帯が占める割合を言い、9人に1人の子どもが基本的な衣食住にさえ困っているという。それだけでなく、貧困から生じる学びや体験の格差は、次世代にまで深刻な影響を与える。

特に、朝食を取ることができない、あるいは孤食状態にある子どもたちは、心身の発達だけでなく、社会とのつながりにおいても不利な状況に置かれている。

また、貧困率がとりわけ高いひとり親家庭では、経済的・時間的な制約から、旅行や外食といった非日常的な体験を提供する余裕がなく、家庭全体のウェルビーイングにも影を落とす。

こうした社会課題に対し、意外にもホテル業界から、解決に挑む企業が現れた。国内外に177店舗(2025年8月末時点)を展開し、非日常を提供する側面を持ちながら、地域との結びつきを重視する株式会社スーパーホテルだ。

既存の事業で社会課題の解決を目指す

2024年2月、スーパーホテルで「イノベーション委員会」という社内プロジェクトが発足した。そして委員会で出たアイデアをきっかけに、子どもの貧困や体験格差、社会的孤立といった課題に対して、ホテルならではのリソースを活用した解決策が模索され始めた。

そこから生まれたのが「モーニング子ども食堂」と「ウェルビーイングステイ」という、地域と未来を見据えた新しいモデルだ。

「モーニング子ども食堂」は2025年3月、スーパーホテル東京・赤羽駅南口で始まった。北区在住の小中学生を対象に、ホテルの朝食ビュッフェを無料で提供。統括支配人の「朝食を食べられない子どもたちを笑顔にしたい」という想いから生まれたこの活動は、子どもの孤食や欠食の解消を目指して行われた。

「モーニング子ども食堂」の案内

スーパーホテル東京・赤羽駅南口で行われた「モーニング子ども食堂」の案内


「ウェルビーイングステイ」は、2025年4月に奈良市との官民連携でスタート。奈良市のひとり親家庭に対し、空室の多い日に一泊3000円の特別料金で宿泊体験を提供している。天然温泉や朝食ビュッフェといった非日常体験を通じ、親子の心身のリフレッシュを支援する。

ウェルビーイングステイ

「ウェルビーイングステイ」では、食事はもちろん、入浴や娯楽まで、特別価格で楽しめる


企業経営
ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パートナーコ創設者が見出した「真の成功」の法則
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米サウスウエスト航空、通期EBIT見通しを下方修正

ワールド

アフリカのコンゴとルワンダ、トランプ氏仲介の和平合

ビジネス

テスラ、欧州で低価格版「モデル3」を発売

ワールド

フィッチ、ハンガリー格付け見通し引き下げ 総選挙控
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中