最新記事
気候変動

【COP30】バングラデシュは国際社会への警鐘...気候変動で「朝、目覚めたら、家がない」

2025年11月16日(日)17時19分

11日から21日まで国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)が開催されるブラジルに世界の注目が集まる中、バングラデシュの苦境は国際社会への警鐘となっている。同国は堤防の建設、洪水予測の改善、地域密着型の適応策などで称賛されることもあるが、国際的な支援と気候資金がなければ、こうした取り組みは限界を迎える。

「ここに住む人々は、自分たちが出してもいない排出の代償を払っている」と、水資源と気候変動の専門家、アイヌン・ニシャット氏は指摘した。「COP30が意味のあるものになるなら、損失と被害への実質的な資金提供を実現し、我々のような脆弱な国が命と土地を守れるようにすべきだ」

<目に見える気候変動>

科学者らによれば、クリグラムで起きているのは「目に見える気候変動」だという。ブラマプトラ川やティスタ川を支えるヒマラヤ氷河の融解が加速しているためだ。

「氷河の融解は1990年代のほぼ2倍のペースで進んでいる。余分な水が下流に流れ込み、すでに増水している川をさらに膨らませている」とニシャット氏は述べた。

同時に、モンスーンの周期も不安定になっている。到来が早まり、期間が長くなり、激しい集中豪雨が増えている。

「季節のリズムが変わった」とニシャット氏は言う。「雨が降るときは降りすぎ、止むと干ばつになることもある。この不安定さが浸食や洪水をさらに悪化させている」

バングラデシュでは、二酸化炭素(CO2)排出量は世界全体の0.5%にも満たない一方、気候変動による影響は深刻だ。

世界銀行の推計では、2050年までにバングラデシュ国民の7人に1人が気候関連災害で移住を余儀なくされる可能性がある。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

MAGA派グリーン議員、トランプ氏発言で危険にさら

ビジネス

テスラ、米生産で中国製部品の排除をサプライヤーに要

ビジネス

米政権文書、アリババが中国軍に技術協力と指摘=FT

ビジネス

エヌビディア決算にハイテク株の手掛かり求める展開に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    ヒトの脳に似た構造を持つ「全身が脳」の海洋生物...…
  • 5
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 10
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 10
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中