宮大工の技で森を循環させる――世界最古の企業、金剛組が挑む「大きな柱」の危機
万博で始動した「実装の一歩」
実装に向けた第一歩として、髙松コンストラクショングループのエントリーにより、「大阪・関西万博」の伝統文化未来共創プロジェクトで「束ね柱」を展示する機会を得た。
全国47都道府県から提供された木材を用い、12cm角の柱16本を束ねて48cm角の大径柱とし、その柱を4本、四隅に配して舞台を組み上げるというものだ。
しかし、プロジェクトはまさに挑戦の連続だった。
全国から届く木材の乾燥状態をそろえるための時間の確保や、重機が入らない会場で約300kgの柱を人力で安全に立てるための仮設足場と滑車の設計、深夜の限られた時間での組み立てに備えた自社加工センターでの本番同様の仮組みと時間計測――ひとつずつ課題を洗い出し、段取りと手順を磨き込んでいった。
心が折れそうになった局面では、全国の子どもたちから届いたビデオレターが背中を押した。金剛組 取締役 本店長の阿部知己氏は「応援の声が技術者と宮大工を一つにした」と語る。現場を動かすのは、技術だけではなく、人の想いであることを改めて確認した瞬間だった。
万博での展示を経て、各地のイベント出展に関する問い合わせが増加しているという。
「束ね柱」は接着剤を使わないため何度でも再生可能であり、16本で束ねた柱を4等分に分解できる細工により、運搬・組立の容易性も高い。
柱頭をつなぐ貫材を短くすれば、狭い会場にも設置できるため、条件が整えば全国各地での展開が見込める。
この可搬性は、技術の普及と社会的対話の場を広げ、森林の循環利用と伝統文化の継承に対する理解を促すはずだ。
将来を見据えれば、カーボンニュートラルの観点から木造建築の価値は一段と高まる。「束ね柱」は、人工林の適切な伐採と活用を促し、資源の持続可能な循環を具体的に示す装置であると同時に、匠の技を次世代へつなぐ学びの場にもなる。
阿部氏は「我々の技術が、和と伝統を未来へつなぐ架け橋となる」と結ぶ。森林と社寺、地域と文化、技と人が互いに支え合う循環を可視化するこの取り組みは、持続可能な社会づくりに通じる実践として、今後も深化していく。
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