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SDGsアワード

名古屋のものづくりの現場から生まれた、唯一無二のアップサイクル品

どの素材を使うかが決まると、研磨機で研磨し、角を取り、さびを防ぐ加工を施した。近藤印刷では、真鍮の板にインクの接着性を向上させる処理を施し、久保さんの設計どおりに、それぞれ「ニューズウィーク日本版SDGsアワード ○○賞」と受賞企業名をUVインクジェットプリンターで印字して、カットした。その真鍮の板をアルプススチールで鉄のトロフィーに貼り付け、底部には合成皮革を貼り付けて、特製トロフィーは完成した。

「SDGsアワード2023」特製トロフィー

「SDGsアワード2023」の授賞式会場で撮影した完成品の特製トロフィー。「環境部門賞」「社会部門賞」「経済部門賞」「脱炭素部門賞」「地域課題部門賞」「最優秀賞」の6種類あり、1つ1つの形状が異なる Photo: Hiroshi Endo

SDGsに取り組む多くの企業からよく聞くのが、「エコやエシカルを前面に押し出さないほうがうまくいく」という声だ。押しつけがましいと感じると、一部の消費者は敬遠してしまうのだろう。

だから、近藤さんも久保さんも長谷川さんも「かっこいい」にこだわり、廃材由来かどうかに関わらず、「受賞した人が、もらってうれしいトロフィーにしたい」と取り組んでくれた。

それを実現するのが、職人の技だったり、デザインの力だったりする。今回、近藤印刷でもアルプススチールでも、60代~70代のベテランの職人が喜んで関わってくれたと聞く。近藤さんはまた、「価値を何倍にもできる」と、デザインの重要性を力説する。

近藤印刷、アルプススチール、久保さんと、3者の協力のおかげで、唯一無二の「SDGsアワード」特製トロフィーが完成し、受賞者の皆さんにも喜んでもらえた。この小さな協業は、ものづくりの現場に潜む大きな可能性を、私たちに垣間見せてもくれた。

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2025年6月10日号(6月3日発売)は「韓国新大統領」特集。出直し大統領選を制する「政策なきポピュリスト」李在明の多難な前途――執筆:木村 幹(神戸大大学院教授)

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