市販の鎮痛剤が薬剤耐性を後押し?――抗生物質との飲み合わせに潜むリスク
Painkillers Are a Headache
耐性を持つ細菌が12倍に
細菌性AMRの主な原因は抗生物質の使用や乱用とされてきたが、今回の研究で抗生物質以外の薬も関係する恐れがあることが分かった。
「大腸菌をシプロフロキサシン、イブプロフェン、アセトアミノフェンの3種類の薬剤に曝露させたところ、抗生物質のみの場合よりも遺伝子変異の頻度が増え、強い薬剤耐性を得た」と、ベンターは声明で発表した。
研究ではイブプロフェンとアセトアミノフェンをはじめ、血圧を下げるフロセミドや睡眠薬のテマゼパムなど高齢者施設で一般に使われる9種類の薬を検証した。
「薬を大腸菌に曝露させ経過を観察すると、大腸菌が変異を獲得する頻度が最大で12倍になった。つまり耐性を持つ大腸菌が12倍に増えた」と、ベンターは振り返る。「さらにそうした薬と抗生物質を一緒に曝露させると、個々の大腸菌が抱える変異が増えた。そうした大腸菌は大量の抗生物質にも耐性を示した」
「イブプロフェンなど一部の鎮痛剤はAMRの一因になる可能性があり、抗生物質との併用で作用が強まる。また鎮痛剤が腸内に残った状態で抗生物質を飲むと、同時に服用するのに近い作用が生じる」