「スイーツを食べると幸せになる」は本当か? 最新研究で判明した「うつ・不安」との関係性とは
DIET AND MENTAL HEALTH

血糖値の上昇スピードは食べる順番でかなりコントロールできる PHOTO ILLUSTRATION BY DAN KITWOOD/GETTY IMAGES
<注目すべきは血糖値。「アドレナリンを放出させる食品」を食べてしまうと、不安や恐怖が強くなり、攻撃的な気持ちになることも>
甘いお菓子を食べると気持ちが上がる「シュガーハイ」は、食べ物が気分に与える影響の代表例だ。一方、おなかがすくと不機嫌になるのは、食事(またはその欠如)がネガティブな気分を引き起こす代表例かもしれない。
こうした食べ物と気分の関係は、おそらく誰もが経験的に知っている。だが、科学的な説明はできるのか。
最近の研究によると、これには血糖値が関係しているらしい。しかも、食べ物によって血糖値が上昇すると、脳内ホルモンの分泌が刺激されて、不安や鬱を悪化させる恐れがあるという。
もちろん、メンタルヘルス(心の健康)は複雑な領域であり、影響を与える要因は社会的なものから、心理学的要因や生物学的要因など無数にある。だが、多くの科学的実験の結果、食生活も鬱や不安に大きな影響を与えることが分かってきた。
筆者は治療の現場で、抗鬱剤が効く患者と、効かない患者の両方を目にしてきた。そして、メンタルヘルス疾患を治療するためには、あらゆるリスク要因を考慮に入れる必要があると考えるようになった。栄養もその1つだ。
食事とメンタルヘルスの関係を調べた実験の多くは、食事のスタイルとして、いわゆる「地中海式ダイエット」を採用している。その特徴は、野菜や果物、オリーブオイル、全粒粉、豆類をたっぷり使い、そこに少量の魚や肉、乳製品を加えるというものだ。
地中海式ダイエットには多くの効用があるとされるが、食後血糖値の上昇レベルを示す血糖指数(GI値)が低いこともその1つだ。GI値が高い食品(つまり食後に血糖値が急上昇する食品)は、鬱や不安との関連が見られる。
例えば、炭水化物でもGI値が高い白米や白パンやクラッカーは、気分の落ち込みや不安に寄与する可能性がある。他方、インドなどで多く見られるパーボイル加工米や全粒粉のパンはGI値が低い。
ハッピーなのは一時的
血糖値がメンタルヘルスに与える影響は、脳内ホルモンによって説明できる。
砂糖や炭水化物(パン、米、パスタ、ジャガイモ、クラッカーなど)を食べると、血糖値が上昇して、さまざななホルモンや神経伝達物質(脳内活性物質)が放出される。
スイーツを食べた後に楽しい気分になるのは、幸せホルモンと呼ばれるドーパミンが分泌されるからだ。こうしたホルモンは、生存に必要な行動を快感として感じさせることにより、その行動を奨励する脳内報酬系という仕組みの重要な部分を成す。
一方、インスリンは、体内に摂取された糖分が細胞や組織でエネルギーとして使われるようにするホルモンで、その結果、血糖値は下がる。
ところが、砂糖や炭水化物を取りすぎると、血糖値が急上昇して、インスリンの分泌量も急増する。このため血糖値がもともとのレベルを下回ると、今度はアドレナリンが分泌されて血糖値を適切なレベルに戻そうとする。
ところが、アドレナリンは血糖値を上げるだけでなく、体や脳を戦闘モードに切り替える働きもある。その結果、不安や恐怖を強く感じたり、攻撃的になったりする。
興味深いことに、糖分を摂取してからアドレナリンが上昇するまでには4〜5時間のギャップがある。従ってスイーツを食べると、その直後はドーパミンによって楽しい気分になるが、4〜5時間たつと、アドレナリンによって不安が大きくなるといったことが起こるわけだ。
ただ、こうした影響は、全ての人に同じように表れるわけではない。同じ食事をしていても、血糖値の反応は性別や遺伝や生活スタイル、さらには腸内細菌の状態によって、大きく変わってくる。また、前述のように、メンタルヘルスに与える影響には、社会的要因も含めいろいろある。
それでも、食生活が私たちの気分に大きな影響を与えるのは間違いない。とりわけ女性は、GI値や食事全般による影響を受けやすいことが複数の研究から分かっている。
血糖値を安定させる最も明白な方法は、糖分の摂取量を減らすことだ。とはいえ、砂糖を人工甘味料に置き換えるという単純な方法では解決にはならない。研究によると、あらゆる加工食品のうち、人工甘味料は鬱との関連性が最も強いのだ。
だが、血糖値の変動を安定させて、気分のアップダウンを抑える簡単な方法はほかにもある。そのいくつかを紹介しよう。
■主食はGI値が低い炭水化物に
パーボイル加工米や全粒粉パンを主食にし、GI値の高い炭水化物は摂取量に注意する。筆者は患者にこの助言をして、炭水化物に含まれるGI値への意識向上を図っている。
■炭水化物は朝食や昼食に
人間のホルモン分泌は概日リズム(いわゆる体内時計)に沿っており、一日の早い時間に食べた炭水化物は、夕方以降に食べる炭水化物よりも血糖値を上昇させにくい。
■炭水化物を単独で食べない
豆類やナッツ、肉、魚などのタンパク質や、オリーブオイルやアボカドなどの健康的な脂肪と一緒に食べるようにしよう。こうすると炭水化物の消化スピードを遅らせて、血糖値の急上昇を抑えられる。
■食べる順番に注意する
まずは野菜やタンパク質を食べて、炭水化物は最後に食べる習慣をつけよう。食べる順番を変えるだけで、血糖値の上昇を大幅に遅らせることができる。
■サラダにはオリーブオイルと酢を使ったドレッシングを
野菜と、酢に含まれる酸、そしてオリーブオイルに含まれる脂肪の組み合わせは、炭水化物の吸収を遅らせ、血糖値の急上昇を最小限に抑えることができる。
Mary J. Scourboutakos, Family Medicine Resident and Nutrition Expert, Eastern Virginia Medical School
This article is republished from The Conversation under a Creative Commons license. Read the original article.
Reference
Kwon, M., Lee, M., Kim, E., Choi, D., Jung, E., Kim, K., Jung, I., Ha, J. Risk of depression and anxiety disorders according to long-term glycemic variability, Journal of Affective Disorders, Volume 343, 15 December 2023, Pages 50-58. https://doi.org/10.1016/j.jad.2023.09.017

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