最新記事
定年後

定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係・仕事で後悔しないために

2025年6月24日(火)17時30分
大江 加代(確定拠出年金アナリスト(オフィス・リベルタス))*東洋経済オンラインからの転載

newsweekjp20250624035317.jpg

夫婦も一定の距離が必要

第4に気をつけたいのは夫婦関係だ。仕事にかまけて家庭を顧みなかった男性が、「これまでの罪滅ぼしだ」などと言って妻を豪勢な旅行に誘うというのはよくある話。しかしこれ、妻にとっては迷惑なことも間々ある。

というのも妻は、夫が仕事を優先していた間にいろんなコミュニティーに参加し、自分のペースができあがっている。暇になったからといって急に誘われても、ペースを崩されるだけでありがたくない。しかも旅先で「お茶を入れてくれ」などと頼まれようものなら、それはもう家で過ごしているのと変わりはなく、気が休まらない。そうであればコミュニティーの仲間との旅行のほうがよほど楽しい。

知人夫婦はそうしたことを避けるため、旅行先で2部屋予約をしている。夕食までは一緒に過ごし、その後は「じゃあまた明日」と言って別々の部屋に泊まるというのだ。この夫婦は決して仲が悪いわけではない。互いを尊重し合い、距離を上手に取りながら、楽しい時間を過ごそうとしているわけだ。

 


ひどいケースになると、夫の言動に妻がストレスを感じ、心身に変調を来すことさえある。医師の石蔵文信氏が唱える「夫源病」だ。退職すると、行く所がないため家にいがちになるが、夫婦といえどもそれぞれの世界を持ち一定の距離感を持って付き合うことが重要だといえる。

そして最後に、やりがちなのが資格の取得。退職後、何かしらの仕事に結び付けようと取る人が多いが、あまり意味がない。

もちろん勉強することは否定しない。しかし、多くの人が持っているような資格を取ったところで差別化は図れず、埋没するだけ。それよりもビジネスには顧客が必要で、その顧客は人脈からもたらされる。であるならば、資格の勉強をしている時間に、せっせと人脈をつくったほうがよほど効率的だといえる。

とはいえ、シニアが集まる名刺交換会などに行っても意味はない。お互いに愚痴を言い合って終わるだけ。それよりもこれまでの仕事とはまったく別の世界の人たちや、若い人たちと会ったほうが自分自身の強みや特長がわかり、ビジネスにつながりやすい。

退職後は金銭的にも時間的にも余裕ができ、さまざまなことにチャレンジするチャンス。無意味なことはやめて、楽しく有意義に過ごしてほしい。

newsweekjp20250624040618.jpg週刊東洋経済編集部 (著)『週刊東洋経済 2025年6/7号(定年後の人生戦略)』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします


※当記事は「東洋経済オンライン」からの転載記事です。元記事はこちら
toyokeizai_logo200.jpg





ニューズウィーク日本版 トランプ関税15%の衝撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月5日号(7月29日発売)は「トランプ関税15%の衝撃」特集。例外的に低い税率は同盟国・日本への配慮か、ディールの罠

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アマゾン、クラウドコンピューティング事業が競合に見

ビジネス

アップル、4─6月期業績予想上回る iPhone売

ビジネス

米国株式市場=下落、経済指標受け 半導体関連が軟調

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、一時150円台 米経済堅調
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから送られてきた「悪夢の光景」に女性戦慄 「這いずり回る姿に衝撃...」
  • 3
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 4
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 5
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 6
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 7
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 8
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中