最新記事
健康

「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る

Dietitian Explains Why Fiber Count Is More Important Than Protein Intake

2025年6月15日(日)09時55分
ルーシー・ノタラントニオ
食物繊維とプロテイン

Skica911-pixabay

<若年層で増える大腸がん。その背景にある「タンパク質偏重」の食文化に対して異を唱える専門家の声が話題に>

オーストラリアの管理栄養士アリス・ブリースマン氏がSNSで語った「食物繊維をタンパク質より優先すべき理由」が500万回以上再生され、大きな反響を呼んでいる。

現代の食文化では、タンパク質が強調されることが多く、他の栄養素の重要性が見過ごされがちだ。しかしブリースマン氏は、タンパク質よりも食物繊維の摂取を「もっと頑張るべき」とし、本誌の取材に対して次のように述べる。

【話題の動画】管理栄養士アリス・ブリースマン氏の「食物繊維をタンパク質より優先すべき理由」 を見る


 

「若者たちがタンパク質不足ではなく、大腸がんで命を落としています。多くの人がタンパク質の摂取にこだわるあまり、他の大事な栄養素が後回しにされているのです」

実際、アメリカがん協会(American Cancer Society:ACS)は若年層の大腸がん増加を「世界的現象」とし、大腸がんは今や50歳未満の男性におけるがん関連死の第1位、女性では第2位になっている。

この傾向について本誌が医師に取材した際には、「ライフスタイルや環境要因が主な要因になっている可能性が高い」と指摘していた。ブリースマン氏もこう語る。

「もちろんタンパク質は重要ですが、バランスのとれた食事をとっていれば、ほとんどの人は十分に摂取できています。その一方で、食物繊維やビタミンなど、食の多様性が軽視されがちになっています。タンパク質だけを追い求めるのではなく、より広い視点で、栄養価が高く、バランスのとれた食生活を意識すべきです」

アメリカ心臓協会(American Heart Association:AHA)によれば、成人が1日に必要とする食物繊維の目安は約28グラム。しかし、アメリカの食事摂取基準によると、実際にその量を満たしているのは女性の10%未満、男性の3%にすぎない。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米当局が欠陥調査、テスラ「モデル3」の緊急ドアロッ

ワールド

米東部4州の知事、洋上風力発電事業停止の撤回求める

ワールド

24年の羽田衝突事故、運輸安全委が異例の2回目経過

ビジネス

エヌビディア、新興AI半導体が技術供与 推論分野強
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中