大腸がんのリスクを高める細菌が発見される...「若年層の増加」に研究者が警鐘【最新研究】
Higher Risk for Colorectal Cancer Linked to Bacteria
腸内で他の細菌と競合し、いわば「兵器システム」のような働きを持ち、ヒトの遺伝子(DNA)に損傷を起こし、がんにつながる遺伝子の突然変異を引き起こすことがわかっている。
しかし、コリバクチン産生菌を保有するすべての人が、がんを発症するわけではない。本研究によれば、人口の約20〜30%がこの菌を保有しているが、影響の程度は腸内環境や食生活、他の環境要因に左右される。
また、本研究は関連性を明確に示したが、因果関係が確立されたわけではない。帝王切開率や授乳の有無、抗生物質の使用、加工食品の摂取なども腸内細菌に影響を与え、大腸菌のようにリスクを高める可能性があると指摘する。
さらにコリバクチンに関連するがんは、アメリカや西ヨーロッパ諸国でより多く見られ、肉食中心の食生活や抗生物質の乱用などのリスク因子が影響している可能性もある。
現在、コリバクチン菌を排除するプロバイオティクスの有効性や、早期発見のために遺伝子変異を検出するマーカーの開発も取り組まれている。
地中海食のような食生活の維持、運動、禁煙などの従来の生活習慣対策を勧めつつ、腹痛や体重減少、血便といった初期症状に注意することも重要だという。
筆頭筆者のアレクサンドロフ教授は「SciTechDaily」誌の取材に対して、10歳までにこうしたコリバクチン菌によるDNAの変異を獲得した場合には、60代で大腸がんを発症するのではなく、40代で発症する可能性があると述べている。