最新記事
医療

大腸がんのリスクを高める細菌が発見される...「若年層の増加」に研究者が警鐘【最新研究】

Higher Risk for Colorectal Cancer Linked to Bacteria

2025年5月25日(日)09時15分
アナ・スキナー

腸内で他の細菌と競合し、いわば「兵器システム」のような働きを持ち、ヒトの遺伝子(DNA)に損傷を起こし、がんにつながる遺伝子の突然変異を引き起こすことがわかっている。

しかし、コリバクチン産生菌を保有するすべての人が、がんを発症するわけではない。本研究によれば、人口の約20〜30%がこの菌を保有しているが、影響の程度は腸内環境や食生活、他の環境要因に左右される。


 

また、本研究は関連性を明確に示したが、因果関係が確立されたわけではない。帝王切開率や授乳の有無、抗生物質の使用、加工食品の摂取なども腸内細菌に影響を与え、大腸菌のようにリスクを高める可能性があると指摘する。

さらにコリバクチンに関連するがんは、アメリカや西ヨーロッパ諸国でより多く見られ、肉食中心の食生活や抗生物質の乱用などのリスク因子が影響している可能性もある。

現在、コリバクチン菌を排除するプロバイオティクスの有効性や、早期発見のために遺伝子変異を検出するマーカーの開発も取り組まれている。

地中海食のような食生活の維持、運動、禁煙などの従来の生活習慣対策を勧めつつ、腹痛や体重減少、血便といった初期症状に注意することも重要だという。

筆頭筆者のアレクサンドロフ教授は「SciTechDaily」誌の取材に対して、10歳までにこうしたコリバクチン菌によるDNAの変異を獲得した場合には、60代で大腸がんを発症するのではなく、40代で発症する可能性があると述べている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

関税交渉で来週早々に訪米、きょうは協議してない=赤

ワールド

アングル:アルゼンチン最高裁の地下にナチス資料、よ

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人口学者...経済への影響は「制裁よりも深刻」
  • 4
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウ…
  • 5
    約558億円で「過去の自分」を取り戻す...テイラー・…
  • 6
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 7
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 8
    父の急死後、「日本最年少」の上場企業社長に...サン…
  • 9
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 10
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 6
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 9
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 10
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中