最新記事
健康

なぜ「大腸がん」が若年層で増加しているのか...「健康食品」もリスク要因に【研究者に聞く】

A Rising Colon Cancer Risk

2024年12月26日(木)16時10分
ルーシー・ノタラントニーオ(ライフスタイル担当)

newsweekjp20241226052355-e84f38f8c364f977b700478644885f6044166ccf.jpg

筋肉をつけたい人が愛用するプロテインバーも超加工食品 FANGXIANUO/ISTOCK

「健康食品」にもリスク

超加工食品を大量に摂取すると、大腸癌や乳癌、膵臓癌のリスクが高まることは既に知られている。超加工食品と聞くと、ファストフードや炭酸飲料がすぐに思い浮かぶかもしれないが、プロテインバーやグラノーラなど「健康食品」とされる商品も含まれることに注意が必要だ。

アメリカ人の食生活には野菜や果物が少ない。主食は精製穀物で、揚げ物やベーコンなどの脂質の高いタンパク源と、砂糖や脂肪やナトリウムを多く含む超加工食品を、水ではなく甘い飲み物で体内に流し込んでいる。


「食物繊維は大腸癌のリスクを低下させることが分かっているが、典型的なアメリカ人の食生活は食物繊維が少ない」と、エール大学医科大学院のアン・モンジュー助教は語る。「アメリカ人は赤身肉や加工食品など、癌のリスクを高める食品も大好きだ」

こうした食事は、肥満や代謝異常を悪化させる傾向があると、モンジューは警告する。

「すると体内環境が変わり、脂肪細胞から分泌されるレプチン(食欲を抑制するホルモン)やアディポネクチン(生理活性物質)が過度に増えて、慢性炎症や癌細胞の成長を引き起こす」

スペクターは果物や野菜や全粒穀物など繊維質の高い食品と、ナッツ類や魚に含まれる健康的な脂質の重要性を強調する。「大腸癌を防ぐためには、体に悪い食べ物を避けるだけでなく、体に良い食品を倍増させる努力が重要だ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

英シュローダー、第1四半期は98億ドル流出 中国合

ビジネス

見通し実現なら利上げ、米関税次第でシナリオは変化=

ビジネス

インタビュー:高付加価値なら米関税を克服可能、農水

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中