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動脈硬化の原因となり毎年50万人超が死亡 米国で禁止され日本では使われている「絶対に口にしてはいけない」食品とは...

2023年6月23日(金)12時38分
デイヴィッド・ローベンハイマー、スティーヴン・J・シンプソン *PRESIDENT Onlineからの転載

■グループ3:缶詰、瓶詰

NOVAグループ3は、加工食品だが「超」のラベルには相当しない。これらは瓶詰や缶詰、場合によっては発酵などの保存技術を用いて、グループ1の非加工・最小加工食品に、グループ2の食材(脂肪、糖、塩)を加えて製造される。

グループ3の加工の主な目的は、グループ1の食品の品質保持期間を延ばし、嗜好性(おいしさ)を高めることにある。このグループの食品の例には、缶詰・瓶詰の豆や野菜、果物、缶詰の魚、塩または砂糖で味つけされたナッツ、塩漬け肉・乾燥肉・燻製肉、伝統的な製法でつくられた新鮮なチーズやパンなどがある。

超加工食品=工業製品

■グループ4:ペンキやシャンプーと同じ「工業製品」

工業的製法で広範な加工が行われているため、ときには食品と見なされず、「超加工製品」と呼ばれることさえある食品だ。ペンキやシャンプーと同じ工業製品だが、消費者の装飾的な美学や衛生観念にではなく、味覚に訴えるよう設計されている。

一般に超加工食品の製造は、大規模な機械によってホールフードをデンプン、糖、脂肪、油、タンパク質、食物繊維などの成分に分解するところから始まる。主な原材料は、工業生産された高収量作物(トウモロコシ、大豆、小麦、サトウキビ、テンサイなど)や、集約的に生産された畜肉の挽肉やすり身である。

続いて加水分解(化学分解の一形態)や水素化(水素原子の付加)などの化学的修飾を施されてから、ほかの物質と組み合わされることもある。

またその過程で、さらに工業加工(前揚げ、押し出し、成形など)されたり、また品質保持期間を延ばし、食感や風味、匂い、外観を変えるために、化学添加物を配合されることもある。こうした添加物の多くが農産物由来ではなく、石油などの産業に由来する化学物質である。

「アイスクリーム」と「原油」の共通点

そんな馬鹿な、とあなたは思うかもしれないが、本当の話だ。たとえば一般的な超加工食品の1つ「アイスクリーム」を考えてみよう。

世界石油大手のBPが発行する雑誌の2016年8月17日号に、こんな文章で始まる記事が載っている。

「アイスクリーム、チョコレート、ペンキ、シャンプー、原油の共通点は何だろう?

答え:それらを支える科学である」

この記事によると、ケンブリッジ大学BP混相流研究所の研究チームが、石油生産から、ペンキ、シャンプー、チョコレート(これも超加工食品の一種だ)、アイスクリームなどの多くの製造工程に共通する問題の解決に取り組んでいるという。

科学という見地からいえば、科学者が分野を超えて大きな問題について考えるのはよいことだ。とはいえ、石油とシャンプー、ペンキ、超加工食品産業の共通の関心とは、人間の食事をよくすることではなく、製品をより効率的に製造したり、消費者への訴求を高めたりすることにある。

またこれらの産業は、ただ問題や関心を共有するだけでなく、製造上の問題を解決するために用いられる原料や工程までもが共通していることが多い。

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