地元では東大卒より名誉だった ──【超名門・旧制第一中学】47都道府県の公立高校全一覧
「番町小学校→麹町中学校→日比谷高校」というエリートコースの崩壊
1973(昭和48)年、日比谷からの東京大合格者は学校群制度によって29人(ランキング18位)まで落ち込んだ。このとき、メディアは麹町中教員の話として、1960年代半ばまでと当時(1970年代前半)の違いを紹介している。
「とにかく、この学校でも、すべてが日比谷に向かっていきました。学力のある子どもはすべて日比谷に行きました。教育大付属に受かっても、慶応高に受かった者も、わき目も振らずに日比谷に進学したものでした」
ところが、現在はどうなっているか。
「今年は34人が日比谷に合格しましたが、うち15人は他の国立の付属学校か、私立高校に進んでいます」(『週刊読売』1973年4月7日号)
こうして、番町小学校→麹町中学校→日比谷高校というエリートコースが崩壊する。いま、全国的に一中は学区が広がり、多くは都道府県内であればどこからでも通える大学区制になったため、特定の小学校、中学校から一中に進学する例はあまり見られなくなった。
一方で、各都道府県には国立大学附属小学校、中学校があり、ここから一中へ進むというルートは存在する。秋田大学附属中から秋田高、群馬大学附属中から前橋高、香川大学附属中から高松高校、熊本大学附属中から済々黌高校などである。
小林哲夫
教育ジャーナリスト
1960年生まれ。神奈川県出身。95年から『大学ランキング』編集を担当。著書に『東大合格高校盛衰史』(光文社新書)、『高校紛争 1969―1970』(中公新書)、『中学・高校・大学 最新学校マップ』(河出書房新社)、『学校制服とは何か』(朝日新書)、『神童は大人になってどうなったのか』(太田出版)、『女子学生はどう闘ってきたのか』(サイゾー)、『「旧制第一中学」の面目 全国47高校を秘蔵データで読む』(NHK出版新書)などがある。






