最新記事

アウトドア

仲間や家族と一緒よりも「ソロキャンプ」が最高に楽しくてクセになる本当の理由

2021年9月2日(木)21時35分
キャブヘイ(YouTuber) *PRESIDENT Onlineからの転載

以前こんな実験をやってみた。

これまでまったくキャンプをやったことのない知人に、身ひとつだけ用意してくれれば、あとはこっちでキャンプ場に連れていくし、道具も用意する。何から何まで手取り足取りレクチャーする、っていうものだ。結果その人に「キャンプどうだった?」って聞くと返ってきた言葉は、「多分楽しいんだろうけど......。山に連れてこられてよくわからんまま終わった......」。

「攻略本通り」のキャンプは退屈で野暮

その知人には本当に申し訳なかったけど、改めて自分も、「キャンプの何が楽しいんだっけ」って再確認するいい機会だった。自分で道具を選んで、目的地を決めて、自力で山での一夜を過ごす。そんな"能動的なアクティビティ"が楽しいんだと。だから、俺と同じことをしたりだとか、前の人の足跡をなぞるようなキャンプはしないでほしい。

攻略本通りにゲームをプレイすることほど、退屈で野暮なことはない。

混じり気のない世界に囲まれて一晩を過ごす

僕たちは合理性のあるものが大好きで、良質なものを日々探求している。

でも人間が作るもの、考えつくものには感性や主観、バイアス等の混じり気が入ってしまう。その点、自然の織り成す世界ではそんな叙情的な思惑といった無駄が入る余地は全くない。

例えば、動物の体の一部や、花びらの色がビビッドなのは、別に差し色として見栄えがいいからではなく、種の繁栄というたった一つのシンプルな目的に向け、虫に花粉を運んでもらうか、もしくは外敵に捕食されないよう視覚的に警告しているから鮮やかなのだ。

フルーツが甘いのは鳥類に食べてもらい種を含んだ糞を遠くに運んでもらうためであり、ツル植物が周囲の大きい木に巻き付くのは、本来自重を支えるための茎を太くするリソースを光合成生産に回すことができるからといったように、皆、種や形は違えどそれぞれが中々にトリッキーな生存戦略を敷いている。

このように必ず全ての事象に説明がつき、ただ淡々とそこに完璧な役割と目的を持って存在している。

そんな世界に囲まれて一晩過ごす。

生き抜く力という人間の本質部分が試される

reuters__20210902213553.jpg

キャブヘイさんおすすめのキャンプ飯「タコライス」 写真=北村勇祐

自然界では、たとえ些細なことであっても、解決しなければ生きていけないような深刻な問題になることもある。

暗くて周りが見えない、暖を取らなければならない、道具が足りない、貴重な水等の資源を確保しなければならない――。

日没までに必要な資材を、限られたマンパワー、体力、時間を使い知恵と工夫によって最も効率の良い方法で集め活用する。

その労力によって薪木に火を灯し「暖かさ」「灯り」「食料の調理手段」が得られると今度は生み出したその膨大なエネルギーをどうすれば最も効率的に活用できるのかを、例えば空気の通りが良くなるように地面を掘ろうとか、前に薪木を置いて乾燥させながら輻射熱も得ようとか、知恵と工夫で解決していく。

他にもご飯を食べる、快適に寝る、にも同じように様々な対策や工夫が求められる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

核保有国の軍拡で世界は新たな脅威の時代に、国際平和

ワールド

米政権、スペースXとの契約見直し トランプ・マスク

ワールド

インド機墜落事故、米当局が現地調査 遺体身元確認作

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、円安で買い優勢 前週末の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中