最新記事
日本社会

あまりに危険 ! ノーヘル、右折OKとなった電動キックボードの車道走行は禁止すべき

2021年6月29日(火)18時35分
橋本愛喜(フリーライター) *PRESIDENT Onlineからの転載

なかでも筆者が気になったのは「荷物」だ。

5月上旬、実証実験の様子がメディアで頻繁に取り上げられていたが、実際乗っている人たちを見て大きな違和感を覚えた。ほとんどのケースで「荷物」を全く持っていなかったからだ。

「買い物の時にも気軽に利用」をうたう事業者があるということは、実用時には荷物を持っているか背負っていることが想定されているはず。

自転車の場合、荷物を入れるカゴが付いているし、重たいリュックを背負っていても本人が座っている状態であるため、重心はぶれにくい。が、この電動キックボードにはカゴがなく、直立かつ足を前後させた状態で乗ることになるため、リュックを背負った場合、上重心となりふらつきやすくなる。

kickstarter.jpg実際走った際は、パソコンや手帳、取材道具などを入れたリュック約6kgを背負い走行してみたが、キックボードの構造上、両足を揃えられないことも手伝い、右左折時にバランスが取りにくかった。

肩に掛けたカバンが走行中にずり落ちた際、掛け直そうと片手を離そうものなら転倒し、重大事故につながる可能性もある。

また、買い物で荷物になりがちな「紙袋」は、肩ではなく手に掛けることになるが、風を一身に受ければ、走行中ずっと手元で踊ることになる。

緩すぎるルールの数々......

「服装自由」「スカートでも気軽に利用」ともうたっているが、ヒールやスカートは非常に危ない。紙袋同様、風になびいたスカートが気になり前方不注意になったり、スカートを押さえることで片手走行になる恐れも。中でもロングスカートは、大きくなびけば隣車両の車輪や車体に絡まったり、ひっかかったりする恐れもある。

今回筆者も比較的ユルめな服装で走ってみたが、スピードが出るところでは服がなびくことが気になった。靴もヒールでは絶対に利用しないほうがいい。

両足を揃えて乗れない電動キックボードは、平均台にいる感覚に似ている。後述するが、日本の道路はガタついているところが多いため、ヒールはよりバランスを崩しやすいし、足を地面につける時も非常に不安定になる。

また、走っていた時に非常に気になったのが「スマホホルダー」の位置だ。今回の電動キックボードには、ハンドルとほぼ同じ高さにスマホが取り付けられるホルダーが付いているが、自動車と違い走行時は視線が自然と真下に落ちる。

フードデリバリーの配達員たちによる走行中のスマホながら事故が多く報告されていることに鑑みると、今後、電動キックボードでも同じような事故は間違いなく起きると断言できる。

「右高左低」の道路に不向きだ

電動キックボードが不安定になるのは、彼ら側の走行条件に限ったことではない。

電動キックボードが主に走らされる「道路の左側」は、路駐のクルマをはじめ多くの障害物があり、道路の中でも最も不安定な場所なのだ。

日本の道路は、落下物や雨水などを道路脇に流すため、多くが「右高左低」となっている。そのため道路左側には、転がってきたごみや水たまり、側溝だけでなく、重心が左に寄ることでできる「クルマの轍」までが集中する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ハマス、人質のイスラエル軍兵士の遺体を返還へ ガザ

ワールド

中国外相、EUは「ライバルでなくパートナー」 自由

ワールド

プーチン氏、G20サミット代表団長にオレシキン副補

ワールド

中ロ、一方的制裁への共同対応表明 習主席がロ首相と
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に「非常識すぎる」要求...CAが取った行動が話題に
  • 4
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 5
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 6
    高市首相に注がれる冷たい視線...昔ながらのタカ派で…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【HTV-X】7つのキーワードで知る、日本製新型宇宙ス…
  • 10
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中