「婚約者のアソコ」に言及...テイラー・スウィフト最新アルバムは、下手な「下半身ジョーク」が悪目立ち?
A Masterpiece of Cringe

問題の一部は、たぶん彼女の露出過剰にある。なにしろ全31曲を収録した前作『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント(The Tortured Poets Department)』のリリースからまだ1年半しかたっていない。
しかもこの間(2023年3月から2024年12月まで)、彼女はエラズ・ツアーで世界中を駆け回っていた──だけではない。
この8月末にはNFL(全米プロフットボールリーグ)のスター選手トラビス・ケルシーとの婚約を発表してもいる(彼のパンツの膨らみに言及したと思われる収録曲「ウッド(Wood)」は、まあ最高に引きたくなる)。
それでも彼女は今までどおり、このアルバムでもいろんな記録を塗り替えた。しかし筆者のいいかげんな計算でも、彼女が2020年から今夏までに発表した新曲は全部で111曲。今度のアルバムで、さらに12曲。その全てにベストを期待するのは無理だ。
スーパースターの立場
今回のアルバム収録曲の大半は、スウィフトの最近の作品のテーマとバリエーションの繰り返しだ。新機軸を打ち出した曲もあるが、たいていうまくいっていない。
現在進行形の熱々カップル故、アップビートなラブソングが並んだのは当然だろうが、あいにく2019年のアルバム『ラヴァー(Lover)』に収録されたようなエクスタシーを感じさせる曲はない。
あの頃は若かったと言ってあげたいところだが、残念、その2年前に出した『レピュテーション(Reputation)』ではもっとドラマチックで複雑な恋を歌っていた。





