アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン・バトル・アフター・アナザー』は、笑いとアクション満載
A Timely Masterpiece
クライマックスのカーチェイスは起伏の激しい砂漠の一本道を文字どおりジェットコースターのコースに変え、IMAXで見ると車酔いしそうなド迫力だ。
愚かな時代を生きるには
歌手で詩人のギル・スコット・ヘロンは1970年のプロテストソング「革命はテレビで放送されない(The Revolution Will Not Be Televised)」で、「家でじっとしているわけにはいかないぞ、ブラザー」と呼びかけた。今回この曲は素晴らしく滑稽な場面で使用され、エンドロールでも流れる。
バスローブ姿で家に引きこもるボブは耳が痛いことだろう。
ディカプリオとアンダーソンが組むのは初めてだが、この映画のはちゃめちゃな世界に彼以上に合う俳優は想像できない。『ウルフ・オブ・ウォールストリート(The Wolf of Wall Street)』で証明したとおり、ディカプリオはドタバタ喜劇が実にうまい。
新人のインフィニティは、タフさと感受性ともろさを併せ持つ難役を見事に演じた。だが誰より光るのはショーン・ペン。ロックジョーほど完璧に肉付けされた悪役は珍しく、ペンはキャリア最高レベルの演技を見せつける。
軍人らしく偉そうに歩く様子を見ただけで(実は上げ底靴を履いている)、底なしの劣等感が観客に伝わる。ロックジョーが登場するたび緊張が走るが、観客も拉致されたウィラもそのマチズモが虚勢であることをすぐに見抜く。





