スーパーマンが「明るいヒーロー像」を引っ提げて帰ってきた! 立ち向かうのは現代社会の世相?
Superman the Interventionist
スーパーマンことカル=エル(ヘブライ語の「神の光」「神の声」が名前の由来)は赤ん坊の頃、惑星クリプトンを襲った天変地異をただ1人生き延びた。
シーゲルとシュースターの親にとって「天変地異」はロシアで大勢のユダヤ人が犠牲になったポグロム(大虐殺)であり、30年代のウクライナで人為的に引き起こされた大飢饉だったろう。30年代後半にヨーロッパからアメリカに逃れた移民は、そこにナチスの台頭を重ねたに違いない。
幼子カル=エルはロケットで地球に送られる。カンザス州の農村で心優しい夫婦に拾われてクラーク・ケントと名付けられ、やがて大都会メトロポリスで新聞記者になる。地球の「黄色い太陽」を浴びることで体が変異し、飛行能力や怪力、瞬発力などのスーパーパワーを発揮する。
この変異を、筆者は常々ユダヤ系移民のメタファーと解釈してきた。ヨーロッパでは特定の職業に就けなかったユダヤ人も、アメリカでは自由に才能を開花できた。そしてそうしたチャンスはユダヤ人に限らず、全ての移民と市民に開かれた。
40年代のコミックでスーパーマンは「ぶちのめすぞ」とヒトラーを脅し、ナチスの機関紙で非難された。
新聞連載でも人気を博してラジオに進出。40〜51年まで放送されたラジオドラマ『スーパーマンの冒険』は、「真実、正義、そしてアメリカン・ウェイ(アメリカの流儀)」のためにスーパーマンは戦い続けるとうたった。





