最新記事
日本社会

「銀行口座も作れない」オウム教祖の娘が語る人権なき人生...社会は議論の「手前」にいる

2025年6月27日(金)21時13分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
オウム真理教、死刑制度、松本智津夫、松本麗華、長塚洋、森達也、オウム事件、サリン事件、松本サリン事件、地下鉄サリン事件、ドキュメンタリー、映画、それでも私は、加害者家族、アレフ、光の輪

対談動画に出演する松本麗華さん(6月17日)

<映画監督の森達也氏が、オウム真理教教祖・麻原彰晃の三女・松本麗華氏と、彼女に密着した映画を監督した長塚洋氏と動画で対談。オウム事件から約30年、加害者家族が強いられる境遇と、それに向き合わない社会の現実とは>

「世界の崩壊ですね」事件当時12歳で、教団内で「アーチャリー」と呼ばれていた松本氏は、父親が逮捕された時をそう振り返る。

1995年の地下鉄サリン事件後、警察の捜査時に泣いている姿を無理やり笑いながら写真に撮られるといった壮絶な経験を通じ、「私って『そういう存在』なんだという感覚」を抱くようになったという。銀行に理由も告げられないまま口座開設を拒否されるなど、今も社会生活に不可欠な権利を奪われたままだ。

長塚監督は、テレビ局に映画『それでも私は』の原型となる企画を持ち込んだ際、「被害者もいるしね......」と企画が拒否されてきた実情を明かす。そうした現状に対し、「われわれの社会は議論のまだ大分『手前』にいる」と指摘。「議論にたどり着くための道を耕したい」と、映画に込めた思いを語った。

このほか、動画内ではサリン事件以降に被害者・遺族の「聖域化」が加速したと森氏は分析。また松本さんと被害者家族との面会、父である麻原彰晃(本名・松本智津夫)とのエピソード、死刑制度についてなど、話題は広範に及んだ(これは動画の抜粋記事です。詳しくは動画をご覧ください)。

編集部よりお知らせ
ニュースの「その先」を、あなたに...ニューズウィーク日本版、noteで定期購読を開始
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

日・EUなどとの貿易協定「解消」も、関税裁判敗訴な

ビジネス

米経済活動、大半でほぼ変化なし 物価上昇は緩やか=

ビジネス

米7月求人件数、17.6万件減 失業者数が求人数を

ワールド

プーチン氏「良識働けば協議で戦争終結」、 交渉不調
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 5
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 6
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 9
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中