最新記事
ファッション

「毛皮は殺戮」の時代は終わった...今年の秋冬はファーが熱い! 右翼も左翼も、毛皮が「最高の自己表現」に?

Fur Is Back!

2025年6月18日(水)14時23分
クリスティーナ・コーテルッチ(スレート誌記者)
毛皮をまとった女性たち

この「大義なき時代」に毛皮につかの間の幸福感を求める人も PHOTO ILLUSTRATION BY SLATE. PHOTOS BY VALENTINA FRUGIUELEーGETTY IMAGESーSLATE

<動物虐待、環境汚染......バッシングを乗り越え、年代物からフェイクまで。ファーが奇跡的にカムバックできた理由>

十数年前、友人の別荘でのパーティーが終わって自分のコートを取りに行った。ウールのオーバーやダウンの山から私のコートはすぐ見つかった。信じられないほど柔らかい、深い赤褐色のミンクのコートだったから。

コートをドレスの上に羽織ると、部屋の反対側にいた20代くらいの若者たちの話し声が聞こえた。女性の1人が「毛皮は殺戮」と言ったが、私のことじゃないと思うことにして聞き流した。すると彼女は、今度は叫ぶような大声で「毛皮は殺戮!」と繰り返した。


明らかな当てこすりに少し驚いてそちらを見たが、彼女は私と目を合わせようとはしなかった。

反論する気にもならなかったが、そのコートは大おばの形見で、手持ちのコートの中で一番暖かくて高価だった。しまい込んでおくより有効活用するほうが、死んだミンクのためにもましだと思った。

それに私は菜食主義で毎食アニマルウェルフェア(動物福祉)と環境の持続可能性を最優先していた。

この数カ月、私は当時のことを考えている。2025秋冬シーズン、毛皮がファッショントレンドの主流に返り咲いたからだ。2月下旬から3月にかけてニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリで開催されたコレクションにはファーを使った作品が続々登場。

「シモーン・ロシャ(Simone Rocha)」は石器時代の女性が着けそうな毛皮のブラジャー、「ヴァレンティノ(Valentino)」は艶やかなミンクで縁取ったクロップドブレザーという具合だ。

「シモーン・ロシャ」2025-26年秋冬コレクション


先端医療
手軽な早期発見を「常識」に──バイオベンチャーが10年越しで挑み続ける、がん検査革命とは
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

マスク氏、テスラとxAIの合併否定 投資を巡り株主

ワールド

スペインで猛暑による死者1180人、昨年の16倍に

ビジネス

インフレは高止まり、利下げ急がず─米クリーブランド

ワールド

ビットコイン、初の12万ドル突破 「どこで止まるか
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 2
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 7
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中