最新記事
映画

ジブリ作品らしさも...アカデミー賞のアニメ映画『Flow』はネコが主人公の「ネコっぽい映画」

The Purr-fect Oscar Story

2025年3月14日(金)15時20分
サム・アダムズ(スレート誌映画担当)
アニメ映画『Flow』のネコとラブラドール

アニメ映画『Flow』のネコとラブラドール ©DREAM WELL STUDIO, SACREBLEU PRODUCTIONS & TAKE FIVE.

<長編アニメーション賞受賞作の『Flow』は、犬のように自分からすり寄ってはこないが、猫のように深い絆を結べる作品──(ネタバレなしレビュー)>

映画『Flow』予告編

どちらかというとイヌが好きな人をイヌ派、ネコが好きな人をネコ派と呼ぶことがある。

それと似たように映画の好みも、ストレートに感情に訴えてくる「イヌっぽい」作品に引き付けられるイヌ派と、ずる賢さがあって感情表現が抑え気味の「ネコっぽい」作品を好むネコ派に分かれるのでは、と私は考えている。


さて、今年のアカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされた『野生の島のロズ(The Wild Robot)』と、同賞を受賞した『Flow』(ラトビア語の原題は「Straume」)の間には大きな共通点がある。

天災や人災に脅かされる世界を舞台に、よそ者で不安を抱えた主人公にさまざまな動物が手を差し伸べて展開する物語だという点だ。

だが描き方は全く異なる。『野生の島のロズ』(日本公開中)はまさにワンコ的映画だ。主要キャラクターにキツネがいるから......というだけではない。

原作はピーター・ブラウン(Peter Brown)作の人気童話で、お手伝いロボットのロズが森に住む生き物たちと出会い、生き残りのために互いの違いを乗り越える方法を教えたりする、心温まる感動作だ。

感傷的すぎるとか、お涙頂戴が鼻につくとか言われることも恐れず、とにかく観客から愛されたいと望んでいる作品と言える。ちょっと近所に出かけて戻った飼い主を、狂喜乱舞して飛び付いて迎える愛犬のようなものだ。

【レビュー記事】幼い子供には「恐ろしすぎる」かも? アニメ映画『野生の島のロズ』は「心」を見つけたロボットを描く傑作だが...

企業経営
ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パートナーコ創設者が見出した「真の成功」の法則
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

欧州司法裁、同性婚の域内承認命じる ポーランドを批

ワールド

存立危機事態巡る高市首相発言、従来の政府見解維持=

ビジネス

ECBの政策「良好な状態」=オランダ・アイルランド

ビジネス

米個人所得、年末商戦前にインフレが伸びを圧迫=調査
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中