最新記事
リアリティ番組

「老い」を感じる21年目の『バチェラー』...何年たっても「本物の愛」が見つからない、リアリティー番組「先駆者の宿命」とは?

The Wrong Place to Find Love

2023年8月4日(金)11時20分
ジェイミー・バートン
『バチェラー』ザック・シャルクロス

シーズン27の主役を務めたザック・シャルクロスと30人の女性 CRAIG SJODIN/ABC

<出演者の質の低下、長続きしないカップル...。視聴率の低下や類似番組の競合など、人気リアリティ番組が直面する厳しい状況について>

『バチェラー』といえば、独身男が花嫁をテレビで公開選抜するという奇抜なアイデアで全米を沸かせたリアリティー番組。誕生から21年、男女の立ち位置を入れ替えた姉妹番組『バチェロレッテ』ともども、長きにわたりアメリカの視聴者を楽しませてきたが、さすがに昔日の勢いはない。

 
 
 
 

人間の21歳はまだ青二才だが、テレビ番組としてはもう寿命が来たのかもしれない。視聴率は下がり続け、出演者にまつわるトラブルも散見され、いわゆる「ネタ切れ」感も指摘されている。

そもそも『バチェラー』放送開始の2002年3月25日と現在では、メディア環境が天と地ほども変わっている。あの頃はまだリアリティー番組というスタイル自体が目新しかった。ネット経由の映像配信(ストリーミング)は、生まれてもいなかった。

だから最初の5シーズンは絶好調で、平均視聴者数は1000万人を軽々と超えていて、シーズン2の最終話では2590万人という記録を達成した。でも、それがピーク。時とともに視聴率は下がり、直近のシーズン27(今年1~3月)の平均視聴者数は約290万人だったという。

それでも視聴者にかつてないほどの選択肢がある今日のメディア環境からすれば、290万という視聴者数は成功の部類に入る。だからABCは既にシーズン28の制作を決めている(妹分の『バチェロレッテ』も苦戦続きだが、今も200万前後の視聴者数を維持している)。

この20年で何百人もの独身者が『バチェラー』と『バチェロレッテ』の世界を出入りしてきたが、誰もが無傷で卒業できたわけではない。たいていの人は、とっくに忘れられている。

つかの間の名声を利用して、それなりのセレブになった人もいる。ただし、セレブになってから『バチェラー』のブランドに泥を塗った人もいる。

17年に出演したデマリオ・ジャクソンは、同じ年にスピンオフ番組『バチェラー・イン・パラダイス』にも出たが、参加した女性の1人に性的暴行を働いた容疑で第三者から告発された(被害者自身は泥酔していて、何も覚えていなかったとされる)。

結果として当事者2人は番組から降ろされ、出演する男女間の飲酒に関する新たなルールが設けられた。

食と健康
「60代でも働き盛り」 社員の健康に資する常備型社食サービス、利用拡大を支えるのは「シニア世代の活躍」
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、ポーランド軍に対ドローン訓練実施へ

ワールド

コンゴ、エボラ出血熱死者31人に 3年ぶり流行で

ワールド

小泉農相、20日に総裁選出馬会見 午前10時半から

ワールド

南ア中銀、政策金利据え置き 過去の利下げの影響見極
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 9
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中