最新記事

リアリティ番組

「老い」を感じる21年目の『バチェラー』...何年たっても「本物の愛」が見つからない、リアリティー番組「先駆者の宿命」とは?

The Wrong Place to Find Love

2023年8月4日(金)11時20分
ジェイミー・バートン

230808p54_BCL_02.jpg

シーズン27プレミアのライブ・ウオッチ・パーティー FRANK MICELOTTA/ABC

 
 
 
 

トラブルを招くのは出演者だけではない。かつて司会を務めていたクリス・ハリソンは、出演した女性の人種について不適切な発言をしたせいで、21年6月に降板を余儀なくされている。

長続きしないカップル

不祥事はさておき、番組の持続可能性に関わる深刻な問題もある。出演者の質の低下だ。テレビ・映画プロデューサーのステファノ・ダフレ(ロッソフィルムズ・インターナショナル社長)に言わせれば、そもそも番組のスタイル自体が陳腐化している。

「過去27シーズンにわたって、『バチェラー』は華やかさとロマンス、そしてゴールという3つをセットで視聴者に提供してきた。しかしその旅は、本物の愛を見つける旅と同様、決して平坦なものではなかった」と、彼は言う。

「視聴率が落ちてきた理由の1つは、主役を張る独身者のキャラが退屈になったことにあるだろう。主役の性格や経歴に魅力がないと番組は安っぽくなり、ロマンチックで本物の愛を求めてゴールに向かうというリアリティーが失われ、今やテレビ界にあふれているチープなリアリティー番組と同類になってしまう」

リアリティー番組間の競争が熾烈になり、『バチェラー』の優位性が失われたという事情もある。『バチェラー』も『バチェロレッテ』も、最初の数年こそニッチな市場に輝く比類なき存在だったが、今のテレビには似たような番組が掃いて捨てるほどある。

『ラブ・アイランド』や『ラブ・イズ・ブラインド』など、多くのデート番組が『バチェラー』の王座を奪い取ろうとしている。また『バチェラー』の数あるスピンオフ番組も、コアの視聴者を分散させてしまった。

リアリティー番組が映画や本格ドラマと同じように批評されることはめったにないので、『バチェラー』に対する専門家の評価がどう変化したかは分からない。しかし視聴者からの評価は、例えばインターネット・ムービー・データベース(IMDb)のランキングで分かる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか

ワールド

北朝鮮の金総書記、核戦力増強を指示 戦術誘導弾の実

ビジネス

アングル:中国の住宅買い換えキャンペーン、中古物件
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 5

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    無名コメディアンによる狂気ドラマ『私のトナカイち…

  • 8

    他人から非難された...そんな時「釈迦牟尼の出した答…

  • 9

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 10

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中