最新記事

韓国

世界で人気高まる韓国ドラマ 過熱する制作現場で市民とのトラブルも

2023年5月2日(火)12時24分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

3月下旬、あるネットの掲示板に「ネットフリックス、マスクガールの撮影チームの蛮行です」というタイトルの投稿が掲載された『マスクガール』は同名のウェブ漫画が原作のドラマで、ベテラン女優コ・ヒョンジョン、AFTERSCHOOLのナナなどが出演するネットフリックスオリジナル作品だ。

投稿者は「夜11時にうるさい音が外でしきりするので、窓の外を見たら撮影チームと見られる人たちが自宅前の路地で撮影機材をおろしていた」「30分過ぎてもうるさい音がしていた。ロケの自動車が帰ったので(家を出て)行ってみたら、白い粉を(路地)に撒いた跡があり、綿のようなゴミも無断で廃棄していた」と告発した。

この投稿が炎上すると、ネットフリックス側は「今後、住民の皆さまに迷惑を及ぼすか注意深くチェックする予定であり、撮影現場の管理も細心に注意する」と謝罪文を発表。また同時に「撮影準備期間に公式文書の中で、事前に案内し、公知を確認しない場合、各世帯を訪問して口頭で説明した」と釈明を付け加えた。

これについて先の告発文を投稿した人は「1カ月間、自宅にいたが口頭での説明というのは聞いていない。また告知文の中の撮影の日付は2021年2月23日と書かれている」「謝罪文と見ることができないほど誠意がなく、まるで問題を提起した側に責任を転嫁するような内容だ」と批判した。

IUとパク・ボゴムの新作でもトラブル!?

またドラマの撮影チームが地方のお祭りにやってきた観光客の迷惑になるケースもあった。4月26日、あるネットの掲示板に「高敞青麦祭りのドラマ撮影迷惑」というタイトルの書き込みが掲載された。

投稿者は「4月19日3時間を走って(全羅北道高敞の)祭りに行った。菜の花畑に入って写真撮って歩いていたら、一人のスタッフが制止して『ドラマ撮影しているので、これから先は行けない』と言う。それで別の道に回って(ドラマの)撮影している方向の菜の花を撮ろうとカメラを持った瞬間、『写真を撮らないでください』と怒鳴られた」という。

投稿者は「撮影現場は誰がいるのか肉眼でまったく識別できないほど遠い距離だった」「観光客が最も多い午後4時に貸し切ったように道を塞ぎ、写真も撮ってはいけないという。ドラマ撮影のために多数の観光客たちがなぜ被害を受けなければならないか?」と皮肉った。

問題が指摘されたドラマはIUとパク・ボゴムが主演するネットフリックスオリジナル作品『本当にお疲れさまでした』で、制作会社PANエンターテインメントは、掲示板に投稿がされた翌日にプレスリリースを発表し、「貴重な時間をかけて訪問した方たちにより細心の注意を傾けなかった点に対してお詫び申し上げる」と謝罪をした。

ドラマの制作会社だけが問題を起こしているのではない。3月中旬から、ソウル市恩平区津寛洞に位置した2階の一戸建て住宅の建物で撮影をしたケーブル局チャンネルAの芸能番組『ハートシグナル4』も深夜に撮影を行って騒音が問題になったほか、ドローン撮影によって住民のプライバシーを侵害。さらには撮影車両が不法駐車をするなどで住民の反発を買った。

世界的にも注目を集め、投資を呼び込んでいる韓国のエンターテイメント業界。だが、そのメインターゲットが韓国国民であることはこれからも変わらない。その意味では国民に反発を受けるようなことはまったく得策でないことを業界関係者は肝に銘じるべきだろう。

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

再送米、民間人保護計画ないラファ侵攻支持できず 国

ビジネス

米財務省、中長期債の四半期入札規模を当面据え置き

ビジネス

FRB、バランスシート縮小ペース減速へ 国債月間最

ビジネス

クアルコム、4─6月業績見通しが予想超え スマホ市
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中