最新記事

科学

なぜ人は足に萌えるのか? 「足フェチは服従的な性格と関係がある」という仮説

2023年1月17日(火)14時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

過去には、中国やペルシャなどのいくつかの文化で、足を縛ることで物理的に小さくする纏足の習慣があった。

テレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』のキャリー・ブラッドショーを見ればわかるが、女性もけっこう、自分の足を見てエロチックな気分になるようだ。そのことは、女性も自分の足が男性の性的興味の対象になっていることに、(たとえ本人が意識していなくても)気づいていることを示している。

足への性嗜好が文化に根ざしたものという説に対しては、もうひとつ疑問がある。なぜ「手」じゃなくて、「足」なのだろうか? どの文化でも、足よりは手のほうが目に触れる機会が多いし、手と足は、大まかな形は似ている。女性はよく、キラキラのマニキュアで爪を化粧するから、人の目を惹きやすい。

オンラインポルノでは、女性の手は、セックスに積極的に関与するものとして描かれることが多い。手でいかせるのはあっても、足でいかせるのなんてない。つまり、手は非常に目に触れることが多く、化粧をほどこされ、セックスの道具にもなっている。

それなのに、ドッグパイルの性的検索ワーズのなかでは、足に関するものは9万3885ワーズもあるのに、手に関するものは5831ワーズしかない。アレクサ・アダルトリストでも、足専門のサイトは276もあるのに、手専門とみなせるサイトは「Glove Mansion」だけだった。

では、男が先天的に足に反応するのなら、足フェチは服従的な性格と関係があるというフロイトの説はまちがっているのだろうか? たぶん、まちがいではない。

AOLの検索履歴データを調べると、「足」の性的検索はボンデージ(拘束プレイ)や服従プレイの検索と関連性があることがわかった。また、足専門サイトのウェブマスターたちは、服従プレイ専門サイトにリンクを貼っていることが多い。

足関連の典型的なポルノは、男が支配的な女性に踏みつけられたり、女性の足を舐めさせられているものだ。単に足が好きだからこうした服従ものを好むようになるのか、それとも服従ものが好きだから足フェチになるのか、あるいは、このふたつが何か別の要因によって結びついているのかは、はっきりしない。

女性の靴やパンティーストッキング、靴下の検索も、「足」の性的検索との関連性が強い。「Pretty High Heels」、「Cute Pantyhose」、「Teens' Pantyhose」など、女性が履くものへの性嗜好に応えるウェブサイトや、意見が書き込めるオンラインフォーラムもたくさんある。人気ラッパーのリュダクリスはこう語っている。

「オレは、足のきれいな女の子にはイチコロなんだよ。ブーツを履いていて、足の見えない子にだまされることもあるよ。でもさ、オレは足を見たら、もう終わりなんだよ」男が「乳房」や「お尻」、「足」を好きなことはよく知られているし、証拠もたくさんある。

男が「乳房」や「お尻」、「足」を好きなことはよく知られているし、証拠もたくさんある。しかし、体の部位ではあるが、意外に思う人もいるだろう。


 『性欲の科学──なぜ男は「素人」に興奮し、女は「男同士」に萌えるのか
 オギ・オーガス、サイ・ガダム[著]
 坂東智子[翻訳]
 CCCメディアハウス[刊]


(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米テスラ、カリフォルニア州で販売停止命令 執行は9

ワールド

カナダ、北極圏2カ所に領事館開設へ プレゼンス強化

ワールド

香港トップが習主席と会談、民主派メディア創業者の判

ワールド

今年のシンガポール成長予想、4.1%に上方修正=中
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 7
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中