最新記事

音楽

サブカルの域を越え、紅白にも続々登場 今から聴きたい大人におすすめのボカロ曲&歌い手は?

2022年12月30日(金)10時00分
茜 灯里(作家・科学ジャーナリスト)

とは言え、せっかくの音楽シーンの最先端を食わず嫌いするのはもったいない限りです。そこで、続いて、実力派として定評のあるボカロPと歌い手を、何人か紹介します。

ボカロ曲は、同じ曲を様々な歌い手がカバーしているところも魅力です。最初の取っ掛かりさえあれば、気になるボカロPや歌い手をネットサーフィンで見つけることも難しくないはずです。

年始にピッタリ、クールジャパンの象徴:和楽器バンド

ギター、ベース、ドラムの洋楽器に、尺八・箏・津軽三味線・和太鼓の日本の伝統楽器を加え、詩吟の師範である鈴華ゆう子がボーカルを担当する8人編成のバンド。アマチュア時代からボカロ曲の演奏で注目され、デビュー後もボカロ曲だけ集めたアルバムをリリースしています。

代名詞である『千本桜』のMVは、22年12月現在、YouTubeで1億5000万回再生されています。ボカロ曲と伝統楽器の融合は、和のビジュアルとも相まって、正にクールジャパンの象徴と言えます。

千本桜(黒うさP作、カバー:和楽器バンド)
11年に発表されたボカロ曲の金字塔。大正ロマンの雰囲気に現代風刺も取り込まれた歌詞が付けられている。ピアノバージョンはトヨタのCMにも使われた。和楽器バンドとの相性は抜群で、デビュー前に世界各地から数百万回も視聴された。

フォニイ(ツミキ作、カバー:和楽器バンド)
タイトルは英語で「偽物」の意味。「本物の自分」と「取り繕っている私」の間の葛藤を歌う。オリジナル曲には、21年に登場し、より人間味のある人工歌唱ソフトとして知られる「可不」が使用されている。

力強い高音でボカロ曲にロック魂を注ぐ:あらき

野太くて伸びのあるハイトーンボイスが特徴で、音程の正確さと滑舌の良さも併せ持つため、どの曲も聴きやすいです。しかも歌唱動画の投稿ペースが早く、22年末で150曲にも及ぶため、彼の歌を一通り聞けば「ボカロ曲とは何か」をつかむことができます。

ロックヴォーカリストとしても活躍しているため、ボカロ曲に独自のアレンジやフェイクを加えて、格好良く歌うのが得意。ネットに投稿された動画での歌唱と、ライブでの生の歌の上手さが変わらないことでも知られています。

ヒバナ(DECO*27【デコ・ニーナ】作、カバー:あらき)
DECO*27は、ボカロ文化初期から活動し、現在も高い支持を得ているボカロPの第一人者。ボーカロイドが進化、多様化する中で、初音ミクにこだわった楽曲制作でも知られている。『ヒバナ』は最高傑作の一つとされ、「人間ではあらきの歌唱が至高」と評される。

About me(蝶々P作、カバー:あらき)
ボカロ曲には英語の楽曲もあり、外国人がボカロ文化を知るきっかけにもなっている。こちらはライブバージョンだが、より高音を活かした動画バージョンもYouTubeで1300万回再生を超える人気となっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金総書記、新誘導技術搭載の弾道ミサイル実験

ワールド

アフガン中部で銃撃、外国人ら4人死亡 3人はスペイ

ビジネス

ユーロ圏インフレ率、25年に2%目標まで低下へ=E

ビジネス

米国株式市場=ダウ終値で初の4万ドル台、利下げ観測
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 3

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 4

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 5

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    無名コメディアンによる狂気ドラマ『私のトナカイち…

  • 8

    他人から非難された...そんな時「釈迦牟尼の出した答…

  • 9

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 10

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 8

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中