最新記事

セレブ

マイケル・ジャクソンのボディーガードだった私が見たセレブたちの素顔

I Was a Bodyguard for VIPs

2021年10月20日(水)21時54分
サイモン・ニュートン(俳優、元ボディーガード)

211026P58_MTN_03.jpg

お忍びで食事に行くベラ・ハディドの警護はカジュアルな服装で RICKY VIGIL MーGC IMAGES/GETTY IMAGES

若手のケンダル・ジェンナーや、ベラとジジのハディド姉妹などのボディーガードも務めた。素顔の彼女たちはみんな、とても礼儀正しくて偉ぶらず、こちらの要求は快く聞き入れてくれ、いつも人当たりがよかった。

お世辞じゃない。ステージを下りてからも彼女たちは素敵で、他人を見下すようなことはなかった。だからこそ彼女たちはスーパーモデルになれた。まあ、さすがにマイケル・ジャクソンには及ばないと思うけれど。

ベラ・ハディドの場合、普通のジャケットを着て帽子をかぶっていれば、まあ移動は楽だった。ファッションショーの当日は彼女を見に多くの人が集まるが、控えめに動けば外食や買い物もできた。日曜日に、普段より1時間早く店を開けてもらうとかの交渉は必要だったけれど。

この仕事では「ボディーガード」らしく見えないように振る舞うことも大切だ。相手が女性セレブの場合は、あえてポケットに両手を突っ込んで歩いたりもした。そうしないとクライアントが妙に目立ってしまうからだ。

しかし逆に、「この人は屈強なボディーガードに守られているんだぞ」とアピールしなければならない場合もある。まあ、いろいろだ。

幸いにして、私は身をていしてセレブの命を守るような場面には遭遇しなかった。それは、単なる幸運ではない。こちらが事前に、綿密な作戦を立てていたからだ。

いざセレブを連れて外出するときには、車を止める場所はもちろん、隣の車との距離が十分にあるかも確認する。周辺にファンが多そうなら、現地の警備スタッフにも協力を要請するのが常だった。

撮影現場でマット・デイモンと

私は幸いにもかなりの数の有名人の警備を担当し、無事に使命を果たし、それなりの報酬を得て、自分の会社を立ち上げることもできた。もう現役は退いたが、この15年間で個人としても340万ドルほどは稼げた。

実を言うと、その頃から映画関係の仕事には興味を抱いていた。ドバイ首長家の警護を終えた後、私は同僚の勧めもあって映画界のエージェントに連絡し、軍人がらみの演技アドバイザーなら任せてくれと売り込んだ。

すると1週間後、依頼が来た。そして2カ月間、『グリーン・ゾーン』の撮影現場でマット・デイモンと一緒に過ごすことになった。昔は特殊部隊にいたから、アクションの指導も衣装や武器の時代考証もお手のものだった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

欧州、現戦線維持のウクライナ和平案策定 トランプ氏

ビジネス

ワーナー、パラマウントの買収案拒否 完全売却の可能

ビジネス

NY外為市場=円安/ドル高進む、高市新政権の財政政

ビジネス

米TI、第4四半期見通しは市場予想下回る 米中貿易
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない「パイオニア精神」
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 6
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 7
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    増える熟年離婚、「浮気や金銭トラブルが原因」では…
  • 10
    若者は「プーチンの死」を願う?...「白鳥よ踊れ」ロ…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中