最新記事

BTSが変えた世界

BTSブームも牽引、Kポップダンスを陰で支える振付師

BEHIND K-POP'S VIRAL CHOREOGRAPHY

2020年12月1日(火)18時00分
レイン・バンデンバーグ

しかし、このようにKポップを支える振付師の仕事は、流行発信の原動力であるにもかかわらず、彼らがデザインしたダンスの人気とは不釣り合いな低い評価しか受けていない。韓国の音楽業界は全体として、韓国のエンターテインメントを世界に知らしめた振付師の功績を、公式に評価して認めるべきではないか。

昨年1年間の韓国のさまざまな音楽賞授賞式を見ても、振付師に特化した部門や賞はほとんどない。ダンス関連の賞は数多くあるが、対象は振付師ではなく、振り付けを踊るパフォーマーだ。

グループが振付師と一緒にダンスを練習する様子が注目を浴びるようになったのは、ようやく最近のことだ。19年の「YouTube・Rewind」の「最も好まれたダンス動画」では、ガールズグループMAMAMOO(ママム)のヒット曲「gogobebe」のダンス練習動画が3位にランクインした。ソウルの人気ダンススタジオ「1ミリオン」の有名振付師ミナ・ミョンをフィーチャーした練習動画の再生回数は5000万回。「gogobebe」の公式MVは5800万回に上る。

(MAMAMOO「gogobebe」の練習動画)

女性アイドルグループのレッド・ベルベットの「Psycho」は、ロサンゼルス仕込みの15歳のダンサー、ベイリー・ソクが振り付けを担当して話題となり、注目を集めた。

とはいえ、Kポップのほとんどのレーベルはミュージックビデオに振付師の名前を出さず、スタッフとしてのクレジットもない。ソン・ソンドゥク(BTSの振り付けを担当)、ミナ・ミョン、リア・キム(TWICEやママムの振り付けを担当)、ベイリー・ソクなどの名前は、世界のダンス界ではよく知られているものの、彼らが演出するKポップのスーパースターに比べればちっぽけな存在だ。

今のところ頼りになりそうなのはファンの声だ。Kポップの振り付けを見て、練習して、実際に踊る彼らなら、振付師に対する正当な評価を主張できるはずだ。

(BTS「Dynamite」の練習動画)

From thediplomat.com

<本誌2020年12月1日号掲載>

ニューズウィーク日本版 非婚化する世界
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月17日号(6月10日発売)は「非婚化する世界」特集。非婚化と少子化の波がアメリカやヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中