最新記事

映画

是枝監督、次回作は「パラサイト」のソン・ガンホら主演で韓国映画に挑戦 ところで「韓国映画」の定義とは?

2020年8月31日(月)21時00分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

カンヌ受賞後、カトリーヌ・ドヌーヴ主演の日仏合作映画を撮影した是枝裕和監督、次回作は韓国映画でメガホンを取る。REUTERS/Vincent West

<国際的に評価の高い日本人監督が、次回作では外国映画の現場に飛び込むという>

新型コロナ・ウイルスの世界的なパンデミック以降の数カ月間、目にする映画関係の報道内容といえば、「公開延期や撮影中止」「映画館の売り上げ最低を記録する」など暗いニュースばかりだった。しかし先週、久々に日韓映画界の明るい未来を照らすかのようなビックニュースが飛び込んできた。

映画『誰も知らない』『海街diary』など数々の素晴らしい作品を世に生み出し、2013年カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した『そして父になる』や、2018年に同じくカンヌで最高賞を受賞した『万引き家族』などを手掛け世界からも人気の高い是枝裕和監督。カンヌ受賞後は、カトリーヌ・ドヌーヴ主演の日仏合作映画を手掛けたが、次回作は来年韓国で映画を撮るというのだ。

発表された作品名は、まだ仮題だが『브로커(ブローカー)』という。約5年前から韓国側の制作陣らとオリジナル脚本の企画開発が行われてきた。現在、監督がシナリオ作業中だそうだ。

赤ちゃんポストをめぐる人びとを描く

是枝監督の作品の大きなテーマといえば家族の形である。今回の『ブローカー』(仮)は、赤ちゃんを育てることが出来ない人が、匿名でこっそりと赤ちゃんを置いていくことができる、いわゆる「赤ちゃんポスト」を通じ繋がっていく人たちを描いているという。

この報道は、韓国でもかなり大きく報道されている。日本人監督の起用もそうだが、特にそのキャストの豪華さが注目を集めているようだ。制作決定の第一報と共に公開されたメインとなる俳優は、ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナの3名である。ソン・ガンホとカン・ドンウォンは、2010年に韓国映画『義兄弟 SECRET REUNION』で素晴らしいコンビネーションを見せて以来、久々の競演に注目が集まる。ペ・ドゥナは、2009年の是枝監督作品『空気人形』に主演していたため気心も知れた仲だろう。

韓国映画マニアでなくても、映画好きならこの3人の名前や顔を見たことがあるかもしれない。と、いうのもソン・ガンホは言わずと知れた映画『パラサイト 半地下の家族』の主人公であり、カン・ドンウォンは、今年のカンヌ映画祭に招待されていた映画『半島』(『新感染 ファイナル・エクスプレス』の続編)の主人公だ。カンヌ映画祭がもし開催されていたら、これまで以上に世界から注目を集めていたであろう。

ペ・ドゥナも世界各国から出演のラブコールを受けて、これまで『空気人形』の他にも日本映画『リンダ リンダ リンダ』、アメリカ映画『クラウド アトラス』『ジュピター』、アメリカドラマ『センス8』等に出演する韓国を代表する国際派女優である。

今回の映画『ブローカー』は、韓国の映画会社ジプが制作し、投資・配給は韓国映画業界ナンバーワンのCJENMが行う。これまで多かった日韓合作とは異なり、韓国映画に日本人監督が起用されたという形だ。今一番世界に近い韓国俳優と、世界から認められた監督をそろえた。そこには、今年の2月映画『パラサイト 半地下の家族』のアカデミー4冠受賞で、一気にハリウッドへの足がかりを掴んだCJENMが、ここでさらなる展開を見せようという強い意思がうかがえる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン戦争は2週目に、トランプ氏「無条件降伏」求め

ビジネス

アングル:欧州で若者向け住宅購入の新ビジネス、価格

ワールド

焦点:道半ばの中国「社会保険改革」、企業にも個人に

ワールド

昨年の関税合意実施を米と確認、日本が不利にならない
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だったはずの中国が、不気味なまでに静かな理由
  • 2
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示さない
  • 3
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗雲...専門家「イランの反撃はこれから」「報道と実態にズレ」
  • 4
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 5
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 6
    10歳少女がライオンに激しく襲われる...中国の動物園…
  • 7
    「みんな一斉に手を挙げて...」中国の航空会社のフラ…
  • 8
    【WBC】侍ジャパン、大谷翔平人気が引き起こした球場…
  • 9
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 10
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 9
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中