最新記事
エンターテインメント

韓国、Netflix急成長にタダ乗り議論で法改正 政府は韓国版Netflix育成を宣言

2020年7月4日(土)18時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

韓国政府は2022年までにネットフリックスのような世界で通用するグローバルなOTT会社を育成するというが…… Wachiwit / iStockphoto

<ドラマや映画そして音楽といったコンテンツで世界に進出した韓国だが、それらの配信サービスにも力を入れようと動き出した......>

ネットフリックスといえば、定額料金で映画やテレビ番組のコンテンツが見放題というサブスクリプション型OTT(Over The Top=ネット配信サービス)のトップを走るプラットホームだ。今年のコロナ禍による世界規模での巣ごもり生活でも、映画館に出かけられない多くの人がネットフリックスに助けられたのではないだろうか。

そのネットフリックスが4月に発表した2020年1~3月期の報告書によると、純利益は7億906万ドル にも上り、これは前同期の2.1倍で、過去最高額を更新したそうだ。

そんななか、韓国では通称「ネットフリックス法」と呼ばれる法律が誕生した。この法律ができた背景には一体何があったのだろうか?

タダ乗り禁止のための法整備

ネットフリックスは、韓国でのサービス提供にあたって通信会社SKのブロードバンド通信網を無料で使用している。一方で韓国国内のコンテンツ事業社は、通信事業社に過度なトラフィックを誘発する場合は、インターネット網の品質を維持するために必要な費用として「網使用料」を各社負担している。

このため韓国内の代表的コンテンツ事業社であるネイバーやカカオなどは、通信事業社に毎年数百億ウォンにも及ぶ網使用料を払っているが、アメリカに本社があるネットフリックスはSKの通信網を利用しながら、この使用料を1ウォンも出しておらず、数年前から問題となってきた。

ネットフリックスの韓国内での利用者は過去3年間で12倍以上に増え、4月時点の月間利用者数は637万人という。これほどの人気を集めれば集めるほど、アクセスする人は増え、ネット上のトラフィックが増し、SKは今年に入って既に4回も設備増強に追われた。止むに止まれず、SKはネットフリックスに最小限の使用料金の支払いを求めたが、なんとネットフリックスはこれに対し支払うどころか、ソウル地方裁判所にSKを相手取り「債務不存在確認」の訴訟を起こしている。

この訴訟が起こされた翌5月に、韓国政府は「電気通信事業法」を改訂し、"コンテンツ事業社が網安全性維持に努める"という一文を、"過度なトラフィックが発生した時、コンテンツ事業社も網使用料を負担する"という表現に書き換えた。これで、今後高額な網使用料の請求がきても、SKはネットフリックスに支払いを求めることができるようになるというわけだ。これがいわゆる「ネットフリックス法」である。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イエメン分離派、独立問う住民投票2年以内に実施と表

ワールド

アングル:戦時下でも「物流を止めるな」 ウクライナ

ワールド

メキシコ南部でM6.5の地震、首都でも揺れ 大統領

ワールド

再送ウクライナ北東部ハルキウの集合住宅に攻撃、2人
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 3
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 4
    感じのいい人が「寒いですね」にチョイ足ししている…
  • 5
    【現地発レポート】米株市場は「個人投資家の黄金時…
  • 6
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 7
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    「断食」が細胞を救う...ファスティングの最大効果と…
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 3
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中