最新記事

エンターテインメント

韓国発の超大作『キングダム』、台湾・香港版タイトルが韓国で炎上 新型コロナウイルスもあって問題化

2020年3月31日(火)21時01分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

韓国を卑下したタイトル?で炎上

映画やドラマは中国語圏では名称が漢字に変更されるため印象がガラッと変わることがあるが、『キングダム』の台湾・香港地域の作品名が『李屍朝鮮』とつけられていたのだ。これは、元々1392年より600年以上続いた朝鮮半島最後の王朝である「李氏朝鮮」という言葉をもじっているのだが、「氏」の文字を似た発音の「屍」に入れ替えた表現が韓国を卑下した呼び方として不適切だと韓国内で炎上した。確かに内容的にはゾンビが出てくる作品だけにピッタリかもしれないが、新型コロナウイルスが広まっているタイミングもあって、よけいに韓国国民の感情を逆なでしたかもしれない。

そもそも、映画の現地タイトルは誰が決めているかご存じだろうか? 実は買い付けを行った映画バイヤーが社内で決めることが多く、マーケティング担当や関連会社と会議して決定することがほとんどだ。

一般的にはそのままのタイトルを現地の言葉に訳すか、世界向けに付けられている英語タイトルを使用することが多いが、過去にその国で上映された映画で同名のタイトルが存在する場合や、レーティング審議で引っかかってしまう過激な作品名だった場合、また、タイトルにもトレンドがあるため、より集客を望めるタイトルにする場合などは変更することがある。その際には、販売権利元の会社を通し、理由を説明したうえでプロデューサーと相談して決めるのが一般的だ。

今回Netflixは、この指摘を受け「作品名は現地スタッフが決定している。直ちに変更するように指示した」と発表し、その後3月20日にNetflixは『屍戦朝鮮』というタイトルに変更した。世界同時配信ドラマであり各国にスタッフを持つNetflixだからこそ生じたトラブルと言える。

「マーキュリー」が「アポロ」に変身

さて、作品名と言えば、日本でも映画マニアの間で度々「ひどい邦題論争」が起こっている。特に監督からも抗議が入るほどの騒ぎとなった映画『ドリーム』の邦題トラブルが記憶に新しい。2017年秋に日本で公開されたこの作品の原題は『Hidden Figures』だった。しかし、発音のしにくさや、聞きなれず単語の意味が伝わりにくいという理由からか、『ドリーム 私たちのアポロ計画』に変更されてしまう。

しかしこの映画、そもそも宇宙船"アポロ"計画の話ではなく、宇宙船"マーキュリー"計画の話なのである。確かに、アポロはお菓子の名前にもなっているほど日本人に馴染みが深い。しかし、これはあんまりだとTwitterなどで抗議が殺到し、それがこの映画を作ったセオドア・メルフィ監督にまで伝わってしまった。その後、『私たちのアポロ計画』は削除されて『ドリーム』というタイトルで世に出ることとなった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏対FRBの構図、市場が波乱要素として警戒

ワールド

トランプ氏、プーチン氏と近く協議と表明 ロシア「迅

ワールド

関税下げの米大統領令署名、重要な一歩として歓迎=加

ワールド

シェフチョビッチ欧州委員、来週インド訪問 自由貿易
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害」でも健康長寿な「100歳超えの人々」の秘密
  • 4
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 5
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 6
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    世論が望まぬ「石破おろし」で盛り上がる自民党...次…
  • 9
    SNSで拡散されたトランプ死亡説、本人は完全否定する…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 7
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中