最新記事

日韓関係

韓国ボイコットジャパンは競馬にまで 「コリアカップ」日本馬排除でなくしたものとは?

2019年11月30日(土)11時30分
山本 智行(共同通信社記者) *東洋経済オンラインからの転載

newsweek_20191129_190803.jpg

ムン・セヨン騎手にとっては、最高の日となった(撮影:前田祥久)

大本命抜きで行われたレースは皮肉なことに、それなりに見応えがあった。まず「スプリント」はアメリカ3頭、英国、仏国、香港それぞれ1頭が参戦し16頭立てで行われ、韓国勢が上位を独占した。勝ったのは1番人気のブルーチッパー(騸4歳、父ティズナウ)で、2番手追走から直線で抜け出し、1分11秒1の好時計で快勝した。これで8戦7勝。7月には釜山ダート1600メートルを1分36秒1で圧勝しており、今回の時計も昨年の日本馬モーニン(牡7=栗東・石坂正厩舎)の優勝タイムより0秒4も速い価値あるものだった。

韓国馬によるスプリント初制覇の快挙に管理するキム・ヨングァン調教師は「日本馬が来ても勝つつもりだった」と豪語。馬主のチェ・ビョンブさんは2020年のドバイ遠征、再度1年後の参戦プランを明かした。

その余韻さめやらぬ中、ゲートインしたメイン競走である「カップ」はアメリカ2頭、英国、香港各1頭の計11頭立て。名手ムン・セヨン騎手が騎乗したムーンハックチーフ(牡4歳、父パイオニアオブザナイル)が積極策に出て、向正面で先頭に躍り出ると、そのまま押し切った。走破時計は1分53秒3。だが、こちらは残念ながら昨年ロンドンタウンが刻んだ1分50秒6のレコードタイムと比べると、2秒7も遅く、昨年4着のチョンダムドッキ(牡5歳)が2馬身半差の2着だったことが、このレースのレベルを表していた。

格付のレーティングトップで、アメリカのケンタッキーダービー、ブリーダーズカップに出走経験のあった1番人気の同国馬ローンセーラーは10着。期待の韓国馬ドルコンは大幅な馬体増が響いたのか、2番人気だったが結果は5着。自身のタイムも2着だった昨年より遅かった。

もっとも、地元が韓国G1を2連勝したことで場内の盛り上がりはハンパなかった。ムン・セヨン騎手はこの日、この韓国G1を2着、1着の大暴れ。「この勝利を2人の娘に捧げたい。お盆を前に餅代を稼ぐことができました」と笑顔をふりまいた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中