最新記事

エンターテインメント

ストリーミング配信は戦国時代へ スピルバーグからアナ雪、トトロまで参戦

2019年10月28日(月)18時40分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

配信映画に大反対だったスピルバーグも

その中でも、一番注目されているのがスティーブン・スピルバーグ監督だ。彼はこれまで「ストリーミングサービスで作られる映画は映画とは言わない」と否定的な姿勢をとってきた。今年2月に行われたアカデミー賞で監督賞を含む3部門を受賞した映画『ROMA』はNetflix制作配信の映画だったが、この受賞についてアカデミー賞を主催する役員でもあるスピルバーグ監督は、「今後ストリーミング配信映画はTV番組と扱うべきであり、映画としてアカデミー賞にノミネートするべきではない」と、ルール改正を求めたという報道すら流れた。

その意味では今回、Apple TV+で制作されるのは、厳密な意味での映画ではない。1985年からアメリカで放送されたスピルバーグ監督のTVドラマ『世にも不思議なアメージング・ストーリー』のリバイバル版『Amazing Stories』の製作総指揮でApple TV+に参加するということだ。だが、これが縁で今後ストリーミングサービス配信用の映画制作も行うかもしれない。

果たして反対派だったスピルバーグ監督をApple TV+は一体どのように口説き落としたのだろうか? 実は、Apple TV+は今までのストリーミング配信会社とは違い、劇場公開優先の動きを見せている。最近、Apple TV+制作の映画関係者が大規模での劇場先行公開を準備しているという報道が流れた。これで、今までストリーミングには反対していた映画人もApple TV+側に取り込んで、他社とは違った大御所のラインナップを目指しているのではないだろうか。

同じ11月にはディズニーも参戦


コンテンツ王国ディズニーがもつラインナップの幅広さが「Disney+」の魅力 Disney / YouTube

11月にサービスを開始するのは、Apple TV+だけではない。12日には、アメリカ全土でディズニーが新しい配信サービス「Disney+」の配信を開始する。料金は月額6.99ドル/年間69.99ドルだ。アメリカでのサービスが開始されてから2年以内に日本を含む主要各国でも開始すると公式発表している。子供向けアニメから、大人にも人気のスター・ウォーズなどのメガヒット映画。また、アメリカンドリーム華やかな1960年代のアットホームなファミリー向け映画などもあり、子供から大人まで幅広く楽しめるラインナップが強みだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、円は日銀の見通し引き下げ受

ビジネス

アップル、1─3月業績は予想上回る iPhoneに

ビジネス

アマゾン第1四半期、クラウド事業の売上高伸びが予想

ワールド

トランプ氏、ウォルツ大統領補佐官解任し国連大使に指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 9
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 10
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中