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ストリーミング配信は戦国時代へ スピルバーグからアナ雪、トトロまで参戦

2019年10月28日(月)18時40分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

ついにジブリ作品がネット解禁?

また、2020年4月に配信開始される「HBO Max」では、スタジオジブリ作品が21作品もラインナップされ話題となった。「HBO Max」は、映画で有名なワーナー・ブラザーズの親会社であるワーナー・メディアによるストリーミング配信サービスだ。これまでジブリ作品といえば、DVDやブルーレイといったパッケージ商品のみでネット配信はされなかったが、来年の春ついに解禁されるようだ。ただし、HBO Maxの日本展開は未定で、今のところ発表はされていない。アメリカを中心にのみ展開されるサービスのようだが、今後日本のコンテンツを海外発信していくチャンネルとしても非常に大きな可能性を秘めていると言えるだろう。

メガヒット作品の影で独立系映画は締め出し?

今までになかった様々な広がりを見せるストリーミング配信業界。そのなかでも大きな利点といえば、高額な製作費をかけ、ドル箱スターや監督を起用しない映画であっても、世界的に配給が可能となり、若手監督作品や中規模映画、実験的な作品が作りやすくなったという点だろう。

しかし、先日アマゾンプライムでは数千本ものインディペンデンス映画がラインナップから外されたという。これに反対する人びとによってオンライン署名活動が開始され、現在3754名の賛同者が集まっている。アマゾンはアメリカで2016年からAmazon Video Directというサービスを始めており、これは自主製作映画を個人で出品できるシステムだった。Amazonは人気コンテンツを多く抱える大手サービス会社でありながら、一方でインディーズ作品を応援してきたイメージが強かっただけに、この削除が本当ならば残念だ。

定額制の場合今までの映像コンテンツとは違って、そのうち加入者数は頭打ちになってしまうのは目に見えている。そうなると、生き残っていくためには「他社にない強いコンテンツを持っている」「映画館公開もきちんと行うポリシー」等、各社しっかりとした独自性が求められるようになってきた。アメリカではすでに各社からの引き抜きなども行われ始めているという。ライバルが増え、会社同士が切磋琢磨しあうことで、一部の限られた人気ヒット作品ばかりにスポットライトが当てられるのではなく、利用者やクリエーター達の幅広いニーズが満たされる、より良いサービスが提供されることに期待したい。

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