最新記事

パックンのお笑い国際情勢入門

ウーマン村本×パックン「原発や基地をやるきっかけは堀潤さん」

2019年8月7日(水)17時05分
ニューズウィーク日本版編集部

「大麻を合法化した方がいい」で仕事がなくなった

村本 その劇場では人種差別ネタでも、普通にみんなが笑っている。例えば友達の名前を言うときに、黒人だけ「黒人の友達」って言う、アジア人の友達だけ「アジア人の」って付けるんだ、って。リサって言ったら白人。それでみんなが笑っている。

じゃあ、日本にいる朝鮮国籍の人がそういうネタとかやればいいのかな、とか思った。最近はレイプしても無罪になったりするから、そういうのを女性が笑いにすればいいのに。女芸人はブスを演じ......。

パックン ブスキャラね。

村本 そして朝鮮国籍の人は名前を変え、日本人として活動している。もうちょっと自分のアイデンティティーを楽しむ、自分の不幸というか、自分にない権利を(ネタとして)楽しめる環境にあるのに、それをやると、最初は腫れものですよね。

パックン そうだね。少なくとも、日本の社会に疑問をぶつけてもいいはずだよね。

村本 とある番組が僕にアメリカで密着取材する話が出ていたんですよ。僕が英語でスタンダップコメディーに挑戦するのを1カ月くらい密着するというやつ。そのために準備していたのに、4日くらい前に会社に呼び出されて「なくなりました」と言われた。

パックン おっと。

村本 1カ月空けていたのに。以前に「大麻を合法化した方がいい」とツイートしたのをテレビ局が見て。

パックン アウト! そうなんだ!

村本 大麻を合法化している国は世界中にある。だから合法化したほうがいいなんて、1つの意見ですよね? 今の法律はちょっとおかしいから変えたらいいんじゃないと言ったことで仕事を外されるんだったら、まず、憲法改正を言っている安倍総理の仕事を奪えばいい。

パックン 同じ論理で考えるとね。

村本 影響力は総理大臣のほうが大きいのに。それはおかしい。言論の自由がお飾りであるということです。ただ僕は、仕事を奪われることが嫌なわけじゃないんです。

パックン じゃあ、番組がなくなったことに文句はない?

村本 こういうことを言うとこの国では番組がなくなり、芸能界のシステムの中では仕事がなくなっても保障は出ないという、ただの事実を今はしゃべっているだけです。

大麻に関しては、医療大麻のことがずっと気になって調べていた。それで、(大麻取締法違反の)芸能人が土下座したり、人を殺したような扱いを受けるなかで、「大麻を合法化したほうがいい」と僕が発言するのは、池に石を投げたときの水の動きを確かめる作業なんです。

ただややこしい話で、僕には不満が大事なんです。

パックン 社会に対する?

村本 社会に対する。だからカナダに行ったときは何の不満もなくて、逆にそれが不満だった。カナダは全員がリベラルなマスコットキャラクターのテーマパークみたいだから。

※後編に続く:ウーマン村本×パックン「カウンターパンチは全部ありだと思う」

【関連記事】「日本のお笑いって変なの?」をパックンが外国人3人と激論しました
【関連記事】日本人は「政治に興味ない」「専門的に生きている」──外国人のお笑い座談会より

2019081320issue_cover200.jpg
※8月13&20日号(8月6日発売)は、「パックンのお笑い国際情勢入門」特集。お笑い芸人の政治的発言が問題視される日本。なぜダメなのか、不健全じゃないのか。ハーバード大卒のお笑い芸人、パックンがお笑い文化をマジメに研究! 日本人が知らなかった政治の見方をお届けします。目からウロコ、鼻からミルクの「危険人物図鑑」や、在日外国人4人による「世界のお笑い研究」座談会も。どうぞお楽しみください。


ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日米、重要鉱物・レアアース供給確保で枠組み 両国首

ワールド

ベネズエラ、トリニダードとのエネルギー開発協力を停

ワールド

中国企業、インドネシアでアルミ生産拡大 供給過剰懸

ワールド

前ブラジル大統領が異議申し立て、クーデター計画巡る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大ショック...ネットでは「ラッキーでは?」の声
  • 3
    「平均47秒」ヒトの集中力は過去20年で半減以下になっていた...「脳が壊れた」説に専門家の見解は?
  • 4
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 5
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元…
  • 6
    中国のレアアース輸出規制の発動控え、大慌てになっ…
  • 7
    楽器演奏が「脳の健康」を保つ...高齢期の記憶力維持…
  • 8
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 9
    「死んだゴキブリの上に...」新居に引っ越してきた住…
  • 10
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中